週初めは、春を思わせる暖かな一日だったので、これで今年の薪ストーブの出番も、そろそろなくなるかも?とちょっと嬉しい気分のボイジャーです。
でも、その小春気分は、あっけなく終了~。
昨日は、朝から雪がしんしん降って、辺り一面真っ白け~。
まだ、雪化粧というレベルなので、ガッツリ積もってはいないのですが、外の気温は、-2℃。
ということで、部屋では、薪ストーブが本気モードでガンガン活躍中です。
この冬は、本当に薪ストーブが大活躍してくれて、暖房費が高騰しているこのご時世でも、着実に昨年より暖房費が下がっています。
それに、何と言っても、生活空間に火の炎があるのは、何とも時間がゆっくり流れる感じがして、癒し効果抜群です。
さらに、鍋物、タンドリーチキンに焼肉、蒸し物等々、料理にも一役かって、我が家の食卓の味もワンランクアップ!
おまけに、休日は、家族全員この薪ストーブの部屋で、各々やることやりながら会話が途切れません。
このような話を友人にすると、”ぜひ、自分の家にも薪ストーブを入れたい!”と薪ストーブのことについて色々聞かれることが多くなりました。
我が家の薪ストーブは、DIYで超安い既製品+アルファ―で昨年、設置しました。
設置していく過程で、薪ストーブを自宅に設置する際に、”これ知っておかないと絶対やばい!”ということがいくつかあったので、その内容を、今回記事にしてみました。
これから薪ストーブを設置したい!と思っておられる方等々、ご参考になれば幸いです。
薪ストーブと一言で言っても、色々、どのタイプが良い?
Youtubeなどでも薪ストーブの動画は、数えきれないほどアップされ、今や薪屋さんの薪が売り切れ状態になるほどの大人気です。
そんな薪を燃やして使うストーブですが、本当に多くのタイプがあります。
薪を燃やして使うストーブをざっと分類してみるとこんな感じ。
ペレットストーブは、皆さんもよくご存じの方も多いと思いますが、燃料は、薪ではなく、木くずを圧縮して作った木製チップですが、同じ木を燃やすということから、取り上げました。
このように、薪を燃やして使うストーブは、薪ストーブ、ペレットストーブ、ロケットストーブ、ウッドガスストーブの4種類に分け、薪ストーブは、さらに材質が薄い鋼板、厚い鋼板、鋳鉄(鋳物)の3つに分けました。
薄鋼板の薪ストーブの特徴
我が家でも使っている薄鋼板の薪ストーブは、DIYで手軽に設置している方のYoutubeも多いですね。
この種類の薪ストーブの良い所は、何と言っても、価格が安い!という所!!
我が家では、1万円弱で煙突付き本体を購入しました。
まぁ、追加で延長分の煙突、煙突の支持金具、耐熱アルミテープ、耐火煉瓦、耐熱ボード、消火器、を購入したので、全部で3万円程度になりましたが、それでも破格の薪ストーブです。
ただし、今回自宅の部屋に設置した薪ストーブのメーカー仕様は、外部で使用するタイプと説明されています。
そのため、メーカーに確認しながら、防火対策を考慮した構造に変えて使用してます。
安い薄鋼板の薪ストーブは、外部使用になっているものが多いですね。
それと、外部使用となっている薄鋼板の薪ストーブは、気密性が低いので、煙突配管の引きが弱い(煙が外に流れる力が弱い)と、薪ストーブの僅かな隙間から煙が漏れてきやすいという短所があります。
まぁ、低価格なので、値段なりというところはあると思います。
値段が高い厚鋼板の薪ストーブには、扉の内側には、気密性を保つためガスケットロープが貼り付けてありますし、配管接続の外側は、コーキング材が塗布されています。
特に、薪ストーブの使い始めは、ストーブ内も配管も冷えているので、煙が煙突にうまく流れず、部屋がモクモク状態になりやすいです。
このように、DIYで安くでお家薪ストーブが実現できる薄鋼板薪ストーブは、DIYが可能な手軽さとコスパの良さが魅力な反面、それなりの短所もありますが、設置を考えておられる方も多いのではないでしょうか。
さてここからが、特に知らないと大失敗を招いてしまうその1と2です。
その1は、自分で薪ストーブをDIYで設置する場合でも、建築基準法、自治体の火災予防条例等の法令に設置について記されているので、その内容把握は、必須ということ。
昨年も私の住んでいる街の近くで、薪ストーブをDIYで自宅に設置をしたお家で、煙突の先と建物との距離が近すぎて火災になったという事故がありました。
そして2番目は、薪ストーブから出る煙が近所迷惑になり、近隣からの苦情が相次ぐという状況を招くということ。
ネットでも、このような記事を目にすることがあります。
煙害については、特に条例等で記載はないようですが、モクモク煙が煙突から出ていたら、近隣から苦情は出やすいと思います。
通常、薪ストーブで薪を燃やす場合、完全燃焼していれば、煙は、煙突から見えることはないです。
ただし、赤松などの脂分が多い針葉樹を燃やすと、火力は強力ですが、煙も黒い煙が煙突からモクモク。
しかも、真っ黒なススがポロポロ漂いながらたまに出てきます。
我が家でも、赤松を燃やしてこのように屋根にススが見られました。
煙突のトップもご覧の通り。
配管内も・・・。
煙突掃除して3カ月しかたっていないのですが・・・。
ということで、今は、赤松は燃やしていません。
ちなみに、私が参考にしたいくつかの条例のサイトのうち、北九州市が公開しているpdfを紹介します。
https://www.city.kitakyushu.lg.jp/files/000923035.pdf
このように、実際の薪ストーブの設置前には、必ず、設置に関する関係法令の熟知・基準の遵守を踏まえ、同時に、周辺環境への影響リスクを見積もることが必須です。
このことを、スルーしてDIYで薪ストーブを導入することは、火災や環境悪化による苦情のリスクが高くなるというか、場合によっては、人生終わりかねない事態になる可能性もゼロではないと思います。
設置前には、必ず関係法令の基準確認を!
暖かさは、鋼板の厚さは、1mm~2mm程度なので、ストーブ自体に蓄熱は、ほとんどできないです。
そのため、とにかく薪を常に燃やしている状態をキープしないと暖かくなりません。
薪が燃え切ったら、赤外線放射熱が無くなってしまうことから、なんとなく肌寒く感じます。
ということから、厚鋼板や鋳物の薪ストーブと比較して、薪の消費量は、多くなります。
燃焼時の温度も、薪ストーブの表面で150℃前後。
薪の量を増やすと、当然、温度は150℃以上になるかとは思いますが、安全上、屋内使用では、このくらいの温度が上限と個人的には、思っています。
その反面、ストーブの消火を、比較的簡単にできるというメリットはあります。
厚鋼板の薪ストーブの特徴
厚い鋼板は、鋼板の厚さがだいたい5mm~10mm程度です。
鋼板の厚さが厚いほど、薪を燃やして薪ストーブ自身に多くの熱が蓄熱されますが、鋳鉄製の薪ストーブには、およびません。
ストーブが十分蓄熱されれば、薪を常時燃やす必要は少なくなります。
ということで、厚鋼板の薪ストーブは、薄鋼板の薪ストーブと比べて、薪の消費量は、基本的に少なくて済みます。
蓄熱温度は、だいたい200℃ちょっとくらいで運用されることが多いようで、十分薪ストーブに蓄熱されていれば、薪の炎がなく、炭火だけの場合でも、温かく感じます。
また、薪ストーブの価格は、表のとおり本体のみで25,000円程度からありますが、価格差は、主に大きさにより変わることが多いですが、メーカー独自の性能差もあるようです。
通常屋内用は、税込み15万~60万くらいのものが、よく見かけられます。
(※美山里山舎画像掲載許可済み)
この厚鋼板製の薪ストーブは、私がいつも鍼灸でお世話になっているところにあるもので、スペインのPANADEROという会社のALTAという製品です。
非常に大きなガラス面で迫力の美しい炎のディスプレイが楽しめます。
薪の長さは、なんと90cmまでOK.。
暖かさは、申し分ありません。
針葉樹の薪でもOKです。
(メーカーによっては、薪は、広葉樹のみという薪ストーブもあります)
価格的には、本体が税込みで60万前後くらいになります。
このクラスになると、この薪ストーブで家一軒の暖房をするという感じになるので、本体価格より煙突配管設置にかかる費用の方が、高くなることも。。。
加えて、薪ストーブは、煙突掃除や配管・本体点検など、年1回程度の定期メンテナンスが必要になります。
このメンテナンスを怠ると、火災災害のリスクが極めて高くなるので、必須です。
煙突掃除だけ業者にお願いすると、煙突の長さにもよりますが、だいたい1回3万円くらいから6万円くらいかかるようです。
でも、設置やメンテナンスは、薪ストーブの重量が168kgになること、煙突配管も専用の重たい配管になるので、やはり業者依頼になると思います。
業者依頼の場合でも、施工状態が条例等を遵守しているかどうかの立ち合い確認を、自治体は推奨している場合が多いので、最終確認は、必要かと思います。
鋳鉄製の薪ストーブの特徴
鋳物製の薪ストーブは、何と言っても一旦、ストーブが温まると冷めにくいため、薪ストーブの中で薪の消費が少なくて済みます。
また、鋳物は、製造過程で型に鉄を流し込むので、デザイン性に富んだ外観のものを作ることができます。
その反面、破損した場合、修理費が高価になることが多く、修理が非常に難しいです。
また、急激な温度変化に弱いので、針葉樹の薪は使わない場合が多いです。
温度的には、200℃くらいで使用されます。
ペレットストーブの特徴
ペレットストーブは、薪ストーブとは異なり燃料のペレットをあらかじめ燃料供給ボックスに入れ、自動供給する仕組みになっています。
私の住んでいる自治体の市役所にもペレットストーブが設置されています。
株式会社さいかい産業という「日本の森を育てたい」をモットーにする新潟の会社のペレットストーブです。
この会社は、当初、ペレットストーブの輸入販売を手掛ける一方で、日本の山林の荒廃を解消するために環境にも優しいペレット燃料を製造していました。
そして、自社でもカーボンニュートラルなECOな暖房設備としてオリジナルのペレットストーブを開発・販売をされ、昨年の2月に同じ新潟の株式会社新越ワークスと経営統合しました。
今では、新ブランド「warmArts(ウォームアーツ)」としてサポート&販売されています。
(画像:京都府南丹市役所より掲載許可済み)
ペレットストーブの火付けは、着火剤にライターなどで着火した後、燃料供給は電動で行う手動式と着火からすべて自動で行う自動式の2種類があります。
さいかい産業のペレットストーブは、前者の手動着火方式です。
手動着火にした理由は、海外のペレットストーブによくみられる自動着火の場合、着火失敗が起こる場合がある、着火失敗時の再点火までに数十分かかる、着火時に煙が多量に発生する、自動着火時の使用電力が高いなどの理由からだそうです。
参考元:株式会社さいかい産業 SS-1のページ
http://grace-house.jp/catalogue/hanbai/h-pellet/SS-1/SS-1.pdf
ペレットストーブの主な長所は、3つ。
・ペレットストーブの外側は、前面以外熱くならないので、薪ストーブ設置時には必須の防火壁とかストーブ下の防火仕様が必要ない!
・長い煙突は、必要ない!
(但し、吸排気配管は、必要になるが煙突と比べて短い)
・燃料供給は、自動なので12時間くらいは、ほったらかしでOK!
それに対してペレットストーブの残念なところは、3つ。
停電時は、使用できない!
これは、正直困ります。
でも、今は非常時のためのバッテリーも売ってますので、リカバリーはできると思います。
そして、もう一つは、急には暖かくならない!
暖房方式が、赤外線・輻射方式のものは、昔の石油ストーブと同じ感じです。
最近では、送風機能が付いたものもあるので、そちらの方は幾分早く暖かく感じることができると思います。
最後の一つは、燃えている炎の揺らぎがほとんど見られないということ。
室内で炎の揺らぎに癒されるということは、期待できないのは残念ですね。
ロケットストーブの特徴
構造は、至って簡単で、基本的にL字配管の外側を断熱したをものの先に垂直に断熱した煙突を継ぎ足すだけです。
L字配管の水平部分の入り口から薪などの燃料を入れ、燃やすことによって煙突内部も高温になり、強い上昇気流が発生します。
この上昇気流は、L字配管の水平部分の入り口から空気をどんどん吸い込み、どんどん高温になり、その強い燃焼力のため、配管内からロケットブースターのような音が聞こえることが名前の由来となっています。
そんなロケットストーブですが、既製品では、がっつり屋内用は見かけたことがありません。
やはり、燃焼温度が600℃から800℃にもなるので、断熱をしているとはいえ、屋内使用は、ちょっとハードルが高そうという所でしょうか。
そして、既製品の用途は、ほとんどが調理用かごみ焼却用のものです。
それでも、これだけ高温だと、薪ストーブのように煙やススに配慮しながら、燃やすものも考えながら使用する必要がないのはいいですね。
そのような中、DIYで屋内専用でロケットストーブを設置された方もおられます。
この方は、これまで試行錯誤で、実用的なすばらしいロケットストーブを完成されています。
もちろん、防火対策も十分で、耐火仕様、消火器に加え、要所要所に感熱センサーを取り付け、異常温度を感知したら警報音が鳴る等万全です。
ロケットストーブをお考えの方は、参考になると思います。
ウッドガスストーブの特徴
ウッドガスストーブは、燃やして発生した煙を再燃焼させるというもので、暖房用というより、調理用のものがほとんどだと思います。
DIYで作成しやすいということもあって、Youtubeでも多くの方が、動画をアップされています。
ウッドガスストーブの既製品は、価格が1万円までのものも多く、手軽に購入して試すことができます。
DIYで空気を送風するファンを付けると、かなり実用的なものができます。
最後の知らないと大失敗を招くこととは?
長々と書いてしまいましたが、ここで最後の知らないと大失敗を招くこととは・・・。
最近の光熱費の高騰を受けて、なんとか光熱費を下げたいという思いから、石油ファンヒーターやガスヒーター、エアコンをECOな薪ストーブに変えれば、安くなるかも?という動機で薪ストーブを導入しようとお考えの方もおられると思います。
ずばり、薪ストーブで光熱費は、安くなるかどうかは、条件によって変わるので、一概に言えない。ということです。
まず、薪ストーブを使うためには、
・薪の調達
・薪の保管スペース
・近隣の家との十分な距離
・屋内に薪ストーブ設置可能な場所
の条件をクリアする必要があります。
この条件をクリアできたら、ラインコストは、薪にかかる費用次第というところです。
薪ストーブ自体にかかる費用は、私のようにすべてDIYで済ませる場合は、おそらく数万円で済むと思いますが、本格的な薪ストーブを業者を使って設置した場合は、やはり100万前後はすると思います。
この費用は、減価償却として考え、ちょっと置いておいて、薪の費用ですが、我が家の場合、今シーズンは、1カ月で約100kg程度で、金額にして約1万円です。
もっとも、我が家の場合、薪ストーブの暖房範囲は、12畳の一部屋だけ。
運用時間も日中の10時間程度です。
通常、薪ストーブを設置する場合は、暖房範囲は、家全体になる場合が多いですが、その場合の薪の消費量は、家の規模にもよりますが、我が家の4倍くらいにはなると思います。
その場合の薪の保管場所もこんな感じになります。
まとめ
物価高騰の昨今、光熱費の値上がりも尋常じゃない上がり方です。
そのような中、エアコンや石油・ガスファンヒーターを薪ストーブに変えれば、光熱費は、安く済むのでは?と思われる方も多いと思います。
特に、薪ストーブもDIYでできないこともないので、早々にホームセンターで購入して、防火に関する法的なことや防火に関する知識もないまま導入されることは、非常にリスキーな選択になると思います。
また、実際に導入可能であっても、薪ストーブを設置して終わりという考えではなく、薪ストーブを設置し、個人のエネルギーレベルを根本的に下げるライフスタイルに変えるという意識変革も必要ではないかと個人的には思います。
我が家の場合、当初は、暖房費の削減、炎が部屋にある生活へのあこがれという面が正直あり、効果が見込める最小規模で導入しようということにしました。
でも、今では、昨今の気候温暖化や異常気象を身をもって感じている日々の中で、息子の時代を考える機会も多くなり、今の生活をダウンシフトしていく方向にライフスタイルを徐々に変えている中での薪ストーブの導入は、当初の理由によらず必然なもののように感じています。
まぁ、こむずかしいことは、別としても、薪ストーブを導入する時は、自分勝手に設置せず、きちんと法令関係の熟知・遵守の認識を持ち、近隣に対する環境影響に関する知識も学ぶ必要もあると思います。
それを無視して、自分本位の薪ストーブの導入をしてしまうと、火災や近隣からの苦情など失敗で済まされない事態になりかねません。
また、光熱費に関しては、我が家の場合、当面は、薪消費の大部分を友人から無償で頂けているおかげで光熱費が下がっていますが、まともに購入した場合は、たいした削減にはならないと思います。