昨年末から妻と“原油の高騰が止まらないねぇ”と話をしていて、我が家の光熱費もうなぎ上り。
そのような流れから、以前から暖炉とか薪ストーブが家にあったらいいなぁと思っていたのもあり、それじゃ作ってしまおうか?と始めたのがきっかけで、今回、自宅の二階に設置してみました。
最初は、今や不要の長物と化して、押し入れの奥深くに永眠していたデスクトップパソコンを引き出してきて、その筐体が金属なのでそれを使おうと思いました。
それに煙突を買い足して、数千円もあれば格安で2階に待望の薪ストーブが完了のはずでしたが、色々進めていくうちに状況が変わってきました。
結局、薪ストーブ本体も購入することに
新型コロナ禍になってからというもの、空前のキャンプブームで手軽に手ぶらでキャンプが楽しめてしまうグランピングも、結構なお値段にもかかわらず予約待ち状態。
グランピングに来られる皆さんは、口をそろえて焚火の炎をじっと見るのがいいと言われます。
その影響もあってか、ホームセンターの一角にはキャンプテントがディスプレされ、その一角に薪ストーブが売られているのをよく目にするようになりました。
最初は、煙突だけ買って、本体は自作と考えていましたので、早速、近くのホームセンターに煙突を買いに行くと、煙突代だけで約1万円ほどでした。
この煙突を買って、帰ろうかとレジに向かいかけたところ、ふと横を見ると煙突セットの薪ストーブが9880円で売られているではないですか。
但し、この薪ストーブは、鋳物ではなく薄い鉄板製で、外で使う用のやつです。
それでも、自作すれば耐熱ガラスを買ったり、耐熱用の小物を買ったりするので、1万円は、軽くオーバーしてしまうかな?なので、とりあえずこれを買うことにしました。
一応、商品メーカーはホンマ製作所という、この筋では有名な会社です。
ストーブ台の作成
まず最初は、この薪ストーブを置く台を作ります。
薪ストーブは、耐火煉瓦の上に置くので、耐火煉瓦8個がきっちり収まる台にしました。
耐火煉瓦は、ホームセンターで1個税込み218円で購入してきました。
1個手に持ってみましたが、結構ずっしり重たいです。
台の材料は、自宅にあった端材を集めてきて作成します。
耐火煉瓦を置く周りの枠は、適当な角材がなかったので、1mくらいの2×4材を丸鋸で縦に半分にして使いました。
本当は、丸鋸の旋盤で製材したいところなんですが、そのようなものは我が家にはないので、切断する材木を耐火煉瓦で押さえて縦半分に切断しました。
何とか切断はできたのですが、切断途中で恐怖の丸鋸のキックバックが何回か発生し、木材の表面に大きく切り目ができてしまいました。
もちろん、切削作業の時は、息子は立ち入り禁止にしています。
これが、キックバックでついた丸鋸の刃の跡。
丸鋸が前に進みにくくなったなと感じて2,3秒後に一瞬でバックしながら付いた傷跡です。
怖~い!!
丸鋸やグラインダーなど、回転切削工具で作業を進める過程で、工具の回転部が切削している材料に挟まれることにより、急ブレーキがかかる状態になりその反作用で、刃が回転したまま、材料から工具が押し戻される現象を言います。
この押し戻しは、一瞬で起こるため、作業者の人身事故に繋がるケースが少なくないため、作業する場合は、工具はしっかり両手で持つことが必須です。
また、丸鋸が進みにくくなったら、作業を一旦やめ、切削してきた口を少し開けるように楔を入れる等、切削する刃が楽に進めるようにしてから作業再開をすることをお奨めします。
とりあえず、枠材用の木ができたので、カンナかけをしました。
通常、カンナかけは、木の年輪の目(木目)を見ながら、かける方向を順目の向きにかけますが、今回使ったSPF材と呼ばれる外材(輸入材)は、節が多いため目の方向が複雑で非常にカンナかけが難しいです。
カンナかけの理屈を簡単に絵で書いてみました。
いつものごとくお見ぐるしい絵で恐縮です。(^▽^);
製材後の木材の年輪を見て、木の中心側を木裏、木の外側を木表と言い、木の上側を末、木の下側(根っこのほう)を元と言います。
普通は、木表の表面は、末から元に向かってカンナをかけ、木裏の表面は、元から末に向かってかけます。
この時のカンナかけする方向を、順目(じゅんめ)掛けと言います。
これを反対方向にカンナかけをると、逆目(さかめ)かけと呼ばれる状況になり、カンナの刃が年輪に引っ掛かりやすく、きれいに削れないことが多いんです。
下の写真は、節周りで木目が複雑なため、木材全体を見て順目かけをしても、逆目かけになってしまった例ですが、節のない部分で、最初から逆目かけをしてしまうと、同様にこんな感じになることが多いです。
製材された木材に、節(枝を切った跡)があると枝にも年輪があるため、節周辺の年輪の目の入り方は複雑になり、カンナかけが難しくなるのだと思います。
それでも、せっかく作るので、節のないところは、カンナかけをし、節周辺は、愛用のスウェーデンのモーラナイフで削りました。
このモーラナイフは、木工で細かいところを削ったり薄くカンナのように削ったりするのには、凄く使いやすいナイフです。
価格は、ピンキリですが、私が使っているのは3000円くらいのものですが、すごぐ切れ味が良いです。
ちょっと凝った木工をされる方には、お勧めですよ。
キックバックの跡も滑らかになるようにこのモーラナイフで削り、最後にサンドペーパーをかけて仕上げました。
仕上がりは、こんな感じです。(右下の少し白っぽい最後の木が縁材です。)
枠もできたので、全体を割れ防止用の木工ビスで留めていきます。
上が割れ防止木工ビスで、下が普通の木工ビス。
板のネジ固定は、息子も手伝ってくれました。
めでたく薪ストーブ台のビス留めが完了しました。
裏からビス止めしてます。
表にひっくり返して、耐火煉瓦を入れてみます。
ぴったりです!我ながらGood job!
煙突の配管ー屋内ストーブの配管は大変!
当初、煙突は、屋外に出したところで終わりにしようと思っていました。
でも、安全面や煙の逆流、燃焼パワー等、色々考えながら進めていくうちに、そう簡単には終わらないことがだんだんわかってきました。
まず、煙突は、外部に出してから軒があるので、1mほど横配管してからの立ち上げになってしまうのですが、煙を円滑に排出するためには、横配管の先に4m以上の垂直煙突を付けることが好ましいことが判明。
ドラフトと呼ばれる上昇気流の力を得て、燃焼力が上がるのですが、横配管を長くすると、このドラフトが得られにくくなるんです。
でも、我が家に4m以上の煙突を2階から取り付けることは、ちょっと無理。
ということで、とりあえず2mの煙突にすることにしました。
また、屋内の配管表面温度は、薪ストーブ使用時は余裕で100℃を超えるので、安全対策と管内の温度低下防止のために、配管を二重配管にすることにしました。
二重配管は、最初から二重構造のものを購入すると、1m1本が1万5千円から2万円前後とびっくりするほど高いので、今回は、自作することにしました。
煙突径が100mmと120mmの配管を使い、蝶ネジで3点締めします。
配管のW構造は、薪ストーブの垂直配管の立ち上がり部分から屋外配管の水平部の終わりまでとしました。
本当は、すべて最後まで二重配管にしたかったのですが、重量的に最後の垂直配管を支えることがちょっとやばそうだったというのが理由です。
配管を屋外に出す部分は、通常は「めがね石」と呼ばれる耐熱性の石材が使われるのですが、これも価格が最低でも5000円前後はするので、スチール棚の棚板を買ってきて、代用しました。
配管を二重構造にしていることで、煙突の二重管部の表面温度は、薪ストーブをガンガンに燃やした時でも、温度計測をすると40℃前後だったので、温度的には問題ないと判断しました。
これに煙突径の丸穴開け、窓にはめ込みました。
丸穴は、かなりアバウトな開け方になってしまいましたが、部屋側でしっかり耐熱性のアルミテープで密閉しています。
屋内側は、こんな感じです。
さらに、火力をパワーアップする方法は、薪ストーブから出ている曲がった蛇腹配管部を断熱すれば可能なのですが、適当な材料が見当たらないので、とりあえず最後に火入れをしてみて、具合がよくなさそうだったら考えることにします。
この部分です。
この蛇腹の部分を金属で覆って、中身に鹿沼土を入れるとしっかり断熱でき、この薪ストーブがロケットストーブ仕様になるので、燃え方がパワーアップします。
配管の屋内上部固定は、スチール板を切った時の端材でガイドを自作しました。
外側は、こんな感じです。
一応、壁と柱の所には、耐火ボードを置いています。
傍らには、ずーっと飾り物であることが一番の消火器。
この薪ストーブは、初めにもお話ししたとおり、本来は屋外使用のものです。
これを、屋内で使うために安全のことを考え、この内部に薪を燃やす耐火台を置くことにしました。
そこで、自宅にあるもので何か良いものはないかと探したところ、ぴったりのものがありました。
それがこれ。
これは、キャンプ用品ご用達、鹿さんマークでご存じのcaptain stagから出されているバーべキュー七輪。
新品でお蔵入りしていたもので、今後も使う予定がなかったので、今回使うことにしました。
サイズもぴったりです!
これで準備万端。
さらに、後日、100均でステンレス製のザルを買ってきて、この七輪に入れ込み、ペレットでも使えるようにしました。
一階のソファーを2階に移動させて、いよいよ火入れです。
着火1分でこの状態です。
ストーブ内が高温になれば、煙はあまり出ないです。
まとめ
最初は、安易に揺らめく炎を見ながらゆっくり読書でもできる空間が欲しいということで、できるだけ費用をかけずに(できれば、1万円くらいで(^▽^)/)と思っていたのですが、結果的に全部で3万円くらいかかりました。
それでも、本格的に薪ストーブを自宅内に設置しようと思うと、100万とか普通にある話ということで、それから考えると身の丈に合った良い薪ストーブができて良かったと思っています。
今回、実際に薪ストーブを設置してみて、一番気を使ったのは、言うまでもなく安全性です。
万が一、火事にでもなったら取り返しがつかないですからね。
そのため、薪ストーブ本体の設置については、壁面から30cm以上離し、下は耐火煉瓦を敷く仕様にしました。
煙突については、屋内から屋外垂直立上前までは、100φと120φの二重配管にして、配管表面温度が運用時40℃前後になるようにし、屋外垂直立上煙突と屋根の端の距離は約25cmとし、煙突先端は、屋根上150cmにしました。
煙突周囲半径5m以内には、建物壁もありません。
先の写真の通り、壁面には耐火性の石膏ボードを置きました。
この基準にした数値は、薪ストーブの設置条例を出している所の自治体条例に記載されていた数値を採用しました。
ちなみに、わが町の薪ストーブ設置に関する条例は、現在特にありません。
実際に使いだしてみて、配管温度や壁面温度を非接触温度計で計測していますが、今の所、まずいところはありません。
ということで、今回は、薪ストーブの設置でした。
運用後に、薪ストーブを使ってみてよかったこと、想定外だったこと、我が家の変化など近いうちにまた、お話ししたいと思います。