今週の日曜日は、朝からちょっと足を延ばして、兵庫県と鳥取県の日本海側まで家族で出かけてきました。
行程は、下の地図の赤ライン。
朝、朝食を食べてから自宅を9時前に出発。
最初は、今回の目的地「山の健康診断」調査ポイントの兵庫県の新温泉町諸寄の山の奥です。
山の健康診断って?
『山の健康診断』とは、京都大学フィールド科学教育研究センターと株式会社モンベルが行っている協働プロジェクトです。
目的は、社会の発展に関してSDGsの一環として、私たちの環境形成に大きく影響する山の自然環境がどのような状態になっているかを把握すること。
そして、その手段として、2022年11月末までに、日本全国約1000か所を目標に、山に源を発する川の源流水質を分析します。
山や森、川、海はさまざまな生き物の住み家であり、私たちの生活や健康を支える欠かせないものです。
ところで、今、山や森はどんな状態にあるのでしょう。
実は、よくわかっていません。川の水質は山の健康を示す指標になります。つまり尿検査のようなものです。
川の水を調べることで、「山の健康診断」ができるのです。
※『山の健康診断』HPより以下引用
https://fserc.kyoto-u.ac.jp/wp/yamaken/whatmhc/
採取した水の分析予定項目は、7項目。
ちょっと専門用語が出てきますが、PHを測定して、酸性度やアルカリ度を見たり、電気伝導度、無機態窒素(アンモニア態窒素・硝酸態窒素)、リン酸イオン、主要陽イオン(Ca,Mg,K,Na)、主要陰イオン(塩化物イオン、硫酸イオン)、溶存有機体炭素・溶存有機体窒素から、水質の汚染具合や富栄養化をはじめ、現状の水質を見ます。
今回の川の水質調査は、行政が定期的に行っている、居住地域に近い場所での水質調査とは異なり、川の源流で調査を行っています。
そうすることにより、生活排水や工場排水の影響を受けずに、山の診断を行うことができます。
シチズンサイエンスというフィールドワーク
今回の調査で採水するポイントは、北は北海道から南は鹿児島までの全国1000ポイントを目標に水をサンプリングします。
この、膨大なポイント数の水を、限られた期間にサンプリングし、集約するために、日本国中から広く有志を募り、誰でも参加できる仕組みになっています。
この様な仕組みは、シチズンサイエンスと呼ばれるスタイルを活用しています。
シチズンサイエンスとは、今、私たちに起こっている、様々な問題解決について、研究者だけが研究し、考えるのではなく、その主体である一般市民も、できることに協働し、一緒に考えていくスタイルです。
シチズンサイエンスと似たような言葉に、イギリス、アメリカをはじめ、多くの民主主義国で実践されているシチズンシップという言葉があります。
シチズンシップは、相手を尊重し、共に社会についての様々なことについて考えるという社会的教育です。
シチズンサイエンスのスタイルは、このシチズンシップ同様、共に自分の課題として捉え考え、問題を共有するという形を採っています。
我が家でも、息子の世代に大きな問題となることが懸念される、地球温暖化について家族と一緒に考えていく良い機会と考え、今回『山の健康診断』に参加しました。
『山の健康診断』調査の水の採集 in 諸寄
山の健康診断で川の水の採集ポイント選びは、事前におすすめポイントとして、登録されている場所で好きな場所を選びます。
ただし、早い者順なので、既に他の方が選んだ場所以外と言うことになります。
おすすめポイント以外の水の採集も可能ですが、今回の趣旨に沿った適切な場所で採集する必要があります。
我が家では、おすすめポイントは、以前にも採水した実績があるポイントなので、このポイントから選ぶことにしました。
早速、山の健康診断サイトのおすすめポイントが載っているマップを見ると・・・。
あらら~。。。
自宅から手軽に行ける場所は、既に他の方が採水予約済みに~。
仕方がないので、自宅から一番近い空いているポイントで家族でも行けそうなところを、グーグルマップの航空写真やペグマンで確認しながら見ていきました。
調査ポイントは、いずれも川の源流になるので、家族を連れて沢登りなんてことはちょっと無理ということで、決まったポイントが、一応、車でもなんとか行けそうなお隣の兵庫県の新温泉町にある諸寄(もろよせ)という所に流れている大栃川の源流。
グーグルマップで見た限りでは、草がかなりボウボウで川に降りるのに一苦労しそうだったので、草刈り釜を持参で向かいました。
で、到着したサンプリングポイントがここ。
海沿いにあるJR諸寄駅前から細い舗装路を、山の方へ車で10分ちょっと行った所のこの橋の下付近が、採水ポイントです。
グーグルマップで事前に見た風景とちがって、鬱蒼とした草むらはなく、橋のたもとから簡単に川へ降りることができました。
グーグルマップの写真は、9年前のものだったので、昔は、草むらだったのかもしれませんね。
とにかく、釜の出番もなく、ラッキーでした。
早速、川へ降りて手順通りの方法で採水です。
採水は、小さな専用のプラボトル4本に指定の注射器で水を入れます。
そのうちの1本は、息子が入れてくれました。
無事、4本とも採水が終了。
その後に、採水と同時に、周囲の状況も記録するので、20分ほど見て回りました。
川には、残念ながら魚は見られず、カワニナとアメンボくらいでした。
見かけは結構、きれいな川なんですが・・・。
河原は、砂が積もっていて、枯れたノゲシがぽつぽつ見られました。
無事、調査が終了したので、次は、息子が楽しみにしている鳥取砂丘に向けて出発です。
鳥取砂丘で砂滑り!
水の採水ポイントから鳥取砂丘までは、車で30分くらいで到着しました。
鳥取砂丘は、姪っ子と妻の両親と一緒に10年前くらいに来て以来です。
駐車場の周辺も、様変わりしてました。
砂丘会館は、新しくなっていました。
その隣に、変わったモダンな建物が建ってました。
上は、展望台になっていて、下は、カフェのようでした。
いよいよ、息子のお待ちかねの鳥取砂丘へ。。。
10年前より砂丘までの歩道がきれいに整備されています。
砂丘の入り口の隣には、大きなビジターセンターがあり、その外側に砂だらけになった足を洗うスペースが用意されていました。
そうなんです。鳥取砂丘を歩くと、靴の中は、100%砂だらけになってしまうんです。
靴下を履いていても、砂が細かいので靴下の中までしっかり入り込みます。
それでは、砂丘に行ってみましょう!
一面の砂に息子も大喜び!
そして、お楽しみの砂滑り~!?
写真では、滑っているように見えるのですが、実は、砂が細かいので、座って滑ろうとしても、すぐに埋もれてしまって滑れませんでした~。。。
それでも、息子は嬉しそうに足で蹴りながらとりあえず滑って?いました。
そして、海岸に到着!
雄大な日本海の海が一望できます。
いつもしゃべりっぱなしの息子が珍しく無言で海を見ていました。
息子君、なかなか少年になってきたなぁー。
ちょっと大きな流木にこしかけて休憩して、帰りは・・・。
しっかり登りです。
写真では、地べたをはっているだけのように見えますが、結構急な斜面です。
砂の斜面の登りは、まさにアリジゴク~。
蟻地獄に落ちたアリさんの気持ちがわかります。。。
風もけっこう吹いているので、砂の上に風紋が見られます。
そうこうして、やっと砂丘の入り口まで戻ってきた時、息子が”あれに乗りたい~!”と言うので、息子だけあれに乗ってきました。
鳥取砂丘といえば、あれですよね。そうです。ラクダで~す。
息子君、ラクダに乗って砂丘をお散歩すること10分。
お代は、1500円也!
ラクダさんのお散歩は、やっぱり人気で順番待ちで20分ほど待ちました。
ラクダさんの時給は、10分1500円だからお客さんの乗り降りの時間を差し引いても、5回ほど回っているので7500円。
水商売ならぬ砂商売、すごい稼ぎですね!
でも、息子が乗せてもらった時間は、既に4時近くなっていたので、ラクダさんも途中でブー垂れて、泣いていましたが、お付きの人に頭を軽くたたかれていました。
ラクダさん、仕事は、やっぱりらくではなかったようです。
ちなみに、ラクダの撮影だけも有料なので、望遠でも勝手にラクダ撮影はNGです。
砂丘を満喫した後は、併設されている鳥取砂丘ビジターセンターに行って、鳥取砂丘のいろいろをちょっとお勉強。
鳥取砂丘は、実は、福部砂丘、浜坂砂丘、湖山砂丘、末恒砂丘という4つの砂丘の総称で、観光写真なんかでよく見かけるラクダさんがいる鳥取砂丘は、浜坂砂丘なんです。
私は、はじめ、鳥取砂丘のすぐ近所に浜坂という町があるので、浜坂砂丘は、鳥取砂丘とは別にあるものとばかり思っていました。
そして何と言っても、ここにだけなぜこのような巨大砂丘ができるのか?ということについて、しっかり教えていただきました。
その仕組みは、鳥取砂丘の砂の元は、千代川(せんだいかわ)の源流の花崗岩質の山から、運ばれてきます。
運ばれてくる過程で、細かい砂になり、海に流れ出します。
この河口付近には、沿岸流と呼ばれる海岸にそって海水の流れがあり、砂は、この沿岸流によって海岸線まで運ばれていきます。
そして、海岸に寄せられた砂は、強い北西の風によって内陸の方に運ばれ、どんどん高い砂山ができるという仕組みです。
そのため、鳥取砂丘の砂は、千代川の河口付近では、粒が大きめで色も明るい白っぽい色をしていますが、鳥取砂丘の入り口付近の砂は、それよりも粒が細かく、茶色っぽいです。
写真は、海岸で息子が貝殻集めをした際に、同じ小袋に入ってしまった海岸の砂です。
海岸にある砂は、少し白っぽいです。
ちなみに、鳥取砂丘の砂は、記念にする等、意図的に持ち帰りはNGなんです。
帰りは湯村温泉薬師湯でほっこり
砂丘を満喫して、帰りの途中で湯村温泉の薬師湯さんに立ち寄り、久々の温泉に入ってきました。
ここの温泉は、平安時代に慈覚大師が開湯したと伝えられる歴史の古い温泉です。
色は無色透明でナトリウムー炭酸水素塩・塩化物・硫酸塩温泉です。
源泉温度は、日本一熱いとも言われる98℃。
実際、温泉に入ってみても、個人的にはちょっと熱めに感じます。
薬師湯さんは、昔からある日帰り温泉で、料金もリーゾナブルで大人500円、子ども250円。
営業時間は、新型コロナ対策のため9:00~21:00です。(あくまで今回訪問時の時間です。)
駐車場は、コインパーキングが隣接されていて薬師湯さんを利用する場合、2時間まで無料です。
ここの温泉には、一つ変わったコンセントがあるんです。
どこが変わっているのかと言いますと、コンセントの周りのカバーが緑色。
ちょっと気になって聞いてみると、なんとこのコンセントは、温泉を使って発電している電気を供給しているコンセントだとか。
ペルチェ素子を使って、温泉配管の温度と水道配管の温度差を利用して発電しているとのこと。
ペルチェ素子は、かつて務めていた会社の製品開発で使ったことがあるので、懐かしい響き。
出力は40Wくらいまでということなので、スマホの充電用に利用されているとのこと。
ここにもエコなSDGsとの出会いがありました。
まとめ
日帰り山陰兵庫・鳥取の旅は、天気にも恵まれといっても、水を採水する条件が24時間以内に雨が降っていないことなので、必然なのですが、息子に環境について一緒に有意義な調査ができました。
息子も、この調査を協働している京都大学の先生には、月に1回、地元のフィールドワークでお世話になっているので、今回の話を先生にするのを楽しみにしているようです。
息子にとっての初鳥取砂丘も十分堪能し、ビジターセンターでは、砂の鹿威しに夢中で、次の自由研究に、これしたい!と言っていました。
帰りの温泉でも、まさかのエコ発電に出会い、息子にとっても遊びながら楽しんで良い環境の勉強になりました。
そして、このような素晴らしい体験の機会をいただいた京都大学フィールド科学教育研究センターと株式会社モンベルさんに心から感謝です!