10月も、もう中旬に入り朝夕は、めっきり肌寒くなってきましたね。
そのような中、今春から半年超しで種から育てた、シロバナタンポポが開花してくれました。
このタンポポの親株は、春咲きだったので、てっきり花が咲くのは、冬越しをさせて来年の春とばかり思っていたのですが、思わぬサプライズでした。
一緒に育てている息子も、朝にシロバナタンポポが咲いているのを見て、大喜び。
9月11日に2つだけ開花して、その後は、蕾まではいくものの、なぜか黒くなって開花せず。
このところ、変な天気が続いているので、その影響なんでしょうかね。
と諦めムードで、10月に入り、9月の開花から、ちょうど一カ月の10月11日に二回目の開花が。。。
そして、それからは、次々と開花していき、3日後にはこんな感じになりました。(^▽^)/
今回は、このシロバナタンポポに関して、この半年間、息子とともに取り組んだ一つの節目として、その内容とそこから息子と私が学んだことを記事にしたいと思います。
関東以西、主に西日本に分布しています。開花時は、3月から5月に開花しますが、今回の我が家の例のように、秋にも開花がみられるものもあるそうです。
日本国内では、白色のタンポポの種類は、シロバナタンポポの他に、オクウスギタンポポ(東北)、キビシロタンポポ(近畿以西)、ウスジロカントウタンポポ(関東)、ツクシシロタンポポ(九州北部)の4種類が見られます。
この4種類の白色花のタンポポは、生育場所が限定的であったり、個体数が極めて少ないものです。
ちなみに、キバナシロタンポポ(近畿以西)というタンポポがありますが、この花の色は、硫黄色と呼ばれるツヤ無しの薄い黄色です。
国内で見られる、タンポポは、雑種を除いて27種類程度が見られるので、白色のタンポポは、種類的には、全体の2割弱になります。
参考出典:タンポポハンドブック
シロバナタンポポとの出会い
シロバナタンポポを始めて見かけたのは、昨年の3月末でした。
場所は、自宅のすぐ近くのお城の石垣の下にある空地。
空地と言っても、持ち主さんがおられる私有地です。
ちょっと前までは、おばあさんがいろんな花や木を植えて、野菜も育てておられた場所だったのですが、ご高齢のため、親族さんがおられる所に引っ越されました。
そして、今は、お孫さんが家と土地の管理も兼ねて、お一人で住んでおられます。
春には、大きな桜の木が満開になって、毎年、楽しませてくれます。
その時は、私は、どこかタンポポに似ているけれど、花の色が白の変わった花が咲いているなぁ?程度で、特に気にすることもなく、スルーしていました。
そして、今年の春になり、3月末のある日、息子が毎年咲いている、あの白いタンポポを見つけて、私に、”これ何というお花?”と聞いてきました。
その時は、私も毎年この場所で白いこの花を見かけてはいたものの、名前までは知らなかったので、とりあえず写真を撮って、自宅で息子と調べることになりました。
自宅に帰って、息子は、早速、自宅にある図鑑をかたっぱしから引きずり出して、シロバナタンポポと言う名前であることがわかりました。
シロバナタンポポ探し
息子がシロバナタンポポを見て”やっぱりたんぽぽや!”と言って、再び、咲いている所を見に行きました。
そして、息子は、”白いタンポポって珍しいなぁ。近くにまだ咲いてるかなぁ?”と言ったので、それからシロバナタンポポ探しが始まりました。
とりあえず、近場を息子と一緒に自転車で探し始めるも、黄色いたんぽぽは、いたる所で普通に見れるものの、シロバナタンポポは、なかなか見つかりませんでした。
こんな感じで、シロバナタンポポ探し初日は、終わりました。
自宅へ帰って、息子に”次の日も白いタンポポ探しする?”と聞いたら、やる気満々で”する!する!!”と即答したので、どうせやるなら調査範囲を決めて、タンポポの種類も在来種のタンポポと外来種のタンポポも併せて、それぞれが咲いている分布図を作ってみようということになりました。
調査範囲は、我が家がある町域ということにしましたが、これが田舎なので約100k㎡とかなり広い。
それでも、シロバナタンポポの開花時期の間の約2か月間週、2,3日程度で調べた結果、シロバナタンポポが見られた場所は、わずかに6か所でした。
あまりにも少なかったので、ネットで京都府でシロバナタンポポが咲いている所の情報を検索して、確かな情報として見つかったのは、2件。
京都教育大付属の実験農場とわち山野草の森にシロバナタンポポが咲いているということで、早速、出向いて確認しました。
京都教育大付属の実験農場は、実は、作物作りの体験で息子がいつもお世話になっているので、体験作業の折、農場のスタッフさんにシロバナタンポポのことを聞くことができました。
スタッフさんによると、”例年、シロバナタンポポが見られるのですが、今年に限って咲いていないですねぇ~。”とのこと。
ちょっと残念でしたが、日を改めて、わち山野草の森に出かけた時には、数は少なめでしたが、黄色いたんぽぽに混じって、しっかり咲いていました。
こんな感じでゴールデンウィークに入り、シロバナタンポポ探しは、無事終了しましした。
調べた結果は、夏休みの自由研究結果として京都府立植物園が公募していた、植物展に学校経由で出展しました。
タンポポの分布図と調査内容のまとめ&資料を展示させていただきました。
シロバナタンポポを種から育てる
ゴールデンウィーク前あたりからは、シロバナタンポポ探しも終盤になってきたので、息子と相談して、今度は、シロバナタンポポを種から自分で育てて花を咲かせてみようということになりました。
とは言ったものの、シロバナタンポポの種なんてものは、どこにも売ってません。
それならばと、まずは種採集から始めました。
シロバナタンポポの種採集と播種
天気の良い日に、シロバナタンポポの綿帽子を取りに行きました。
綿毛帽子を自宅に持ち帰って、種を早速、播種します。
まずは、綿毛の部分を一個づつ丁寧にハサミで切り取ります。
綿毛の部分をつけたまま、播種すると綿毛の部分からカビが生えてきます。
綿毛の切り取りが終わったら、容器に水を含ませた脱脂綿にピンセットで種を置いていきます。
ひととおり蒔き終わったら、軽く霧吹きで水分を加えて終了です。
ネット情報によると、水は、雨水がいちばん良いそうです。
どうも水道水だと、発芽率が1割もいかないことが多いとか。
でも、このところ雨が降らなかったので、ネット情報によると酸性の軟水ミネラルウォーターでも代用可ということで、ドラッグストアでこれを購入。
pH6.6(メーカー推定値)のやや酸性のお水です。
他にもいろいろ探したのですが、ミネラルウォーターは、pHが中性若しくはややアルカリ性がだんぜん多かったです。
種は、全部で279個蒔きました。
2022年4月19日
初めての発芽!喜びとともに最初の試練?
めでたく、6日後の4月25日に、第一号の発芽!
ネットで、シロバナタンポポを栽培されている先達の記事を見みると、多くの方が播種から発芽までにかかる日は、環境にもよるけれど1週間前後だとか。
私の場合も、播種から発芽まで6日なので、今の所良いスタートと思いきや、最初の試練が。。。
発芽した種を、感慨深くじ~っと見ていると、ん?
表面に何やら白い小さな埃のようなものが付着しています。
ルーペで見ると、白カビでした!youtu.be
他の種を見てもだいたい8割くらい同じ状態です。
とりあえず、カビが付着しているのは、殻の部分なので、しばらく様子を見ることにして、万が一、全滅ってなことになった場合の保険に、追加で200個の種を再度採取して、播種しました。
シロバナタンポポの1回目の植え替え
それから4日後の4月29日。
シロバナタンポポの種は、白カビにも負けず、すくすくと双葉を出し始めました。
この日双葉が見られたのは、60個でした。
播種から約二週間後には、発芽した種は122個になりました。
双葉も88個まで増えたので、植え替えできそうな双葉72個を選び、5月14日、いよいよ土のポットに植え替えをしました。
使用する土は、自宅にタキイの培養土がちょうどあったので、これを使うことにしました。
土は、ボックスに入れて、ポットに入れていきます。
そして、シロバナタンポポの双葉を丁寧に1本づつポットに植えていきます。
全部で72個。
植える時は、本来なら根を傷めないようにピンセットで脱脂綿を剥がしていくのですが、なかなかうまくいかないので、脱脂綿ごと植えることにしました。
ポットに植え終わったら、霧吹きでお水やりです。
この状態で本葉が出るまで育てます。
シロバナタンポポの2回目の植え替え後も試練が続く
ポットに植えたもののうち生育の良いものから30個程度選んで、コンテナに植え替えました。
今回の土は、20ℓ1袋300円弱の安い園芸用の土を使いました。
それから、朝夕毎日、お水をあげて、8月5日になりいい感じに育ってくれていました。
あの白カビの試練を乗り越えてからは、至って順調だったのですが、それは、やはり序章に過ぎませんでした。
そして8月12日に二つ目の試練がやってきたのです。
この日、いつものようにお水をやっていると、葉っぱの多くがなくなっていたんです。
原因を考えて、まず考えたのは、ナメクジ。
でも、ナメクジ特有の通った後に残る、光に反射する粘液痕がなく、葉っぱの筋は残っていることから、ナメクジは白。
とにかく、現場を一時間ほど遠目で張り込みしていると、どこからか蜂らしきものがシロバナタンポポのほうに飛んできて、葉っぱに付くと、何と葉っぱを切って持っていきました!
犯行の現場写真は、惜しくも撮れませんでしたが、星は、ハキリバチだったのです。
ハキリバチは、お向かいのおばあさんからも庭に植えていたカラーの葉っぱが、ハキリバチの仕業で全滅してしまったと聞きました。
星は、高飛びしたので仕方なく、防衛策として網で覆いました。
これで何とか復活して欲しいと願いながら、あとは、日にち薬です。
それからは、安心しきって、数日、薄いハイポネクスをあげていました。
が・・・。
まさかの第三の試練が・・・。
なぜか?葉っぱが逆に減り続けているような感じがしました。
そして、お盆明けの8月19日、なんと急激に葉っぱがなくなってきているんです!!
ナメクジでもなさそうですし、ハキリバチの入る隙は、網で覆ているのでないはず?
それにしても、派手にやられてます。
新芽の所をよ~く見てみると、何やら青虫の糞のようなものを発見!
これは、間違いなく青虫か毛虫の仕業と思い、再度徹底的に調べたら、星を見つけました!
犯人は、こいつ!#
犯人確保をして、取調室ならぬ取調デジタルズームスコープで見ると、面が割れました。
イラクサギンウワバと言う、蛾でした。
通常は、キャベツ、白菜など結構多くの野菜でよく見かける大食いの虫です。
見るからに大食漢。
蛾の幼虫ということは、知っていたのですが、成虫がどのような蛾なのか、まだしっかりと見たことがなかったので、この幼虫に1週間ほどムショに入ってもらいました。
そして、成虫になったのがこれです。
せっかく生まれてきたので、この後は、釈放しました。
それにしても、シロバナタンポポの被害が甚大なので、ここにきて今回は頓挫するのか?
8月28日。
半分くらいは、生き残れそう?
少し明るい光が見えてきたように思っていたら、来てしまいました。
第四の試練!
今度は、シロバナタンポポがうどん粉病にかかり始めました。
基本的にうどん粉病にかかった場合、白い斑点が出ている葉っぱを切り取るか、株ごと捨てるかどちらかを行います。
でも、今回は、発症初期なのでいちかばちか農薬だけで対処しました。
使った農薬は、これ。
住友化学薬品さんのベニカXファイン・スプレー
そして、翌月に入り9月11日。
少しだけ成長しているような感じ。
それでも4日後の9月15日には、なんと完全復活!
そして次の日には、冒頭でもお話しした通り開花したんです。
春咲きのシロバナタンポポの種から育てた苗で、秋に花が咲きました。
気になっていたうどん粉病もなくなりました。(^▽^)/
とりあえず、この2つだけ咲いてくれました。
今秋は、このお花は、2つだけかなぁ?とちょっと残念な気もしますが、一応は、種から育てて、無事お花も咲いたので成功です。
と思っていたら、実は、10月の6日からどんどん咲き出したんです。
そして、今は、こんな感じになっています。
シロバナタンポポの茎の長さは、なんと約40cm。
これには、息子も大喜び!
まとめ
この半年間、息子と一緒にシロバナタンポポを巡っていろいろ調べました。
そしてシロバナタンポポが自生している土のPHを測ったり、酸性寄りのミネラルウォーターのほうが発芽率が高い傾向があるなど、酸性の土が好みらしいことも判りました。
また、実際にシロバナタンポポを育てていく過程では、様々な試練がありましたが、その中で不思議に思ったことが一つありました。
自宅の近くに自生しているシロバナタンポポの葉っぱを見ると、全く虫に食われたり、ハキリバチにやられていないんです。
上のPH計の写真に写っている葉っぱを見ても外傷がないことがわかると思います。
その一方で、なぜ、我が家のプランターで育てたシロバナタンポポだけが、あのような食害に遭ったのか?
その疑問を、京都府立植物園で京都大学の教授に聞く機会があったので、息子と一緒に質問してみたところ、この内容が実に生きるということについての不易な教えでした。
その内容を、以下に集約して紹介します。
生き物は、膨大な種類のものが、それぞれ何かしらの役目を担って、この地球という環境を保持している。
そのため、多様な種のいづれも地球の環境保持を継続するにあたって、必要不可欠な存在である。
自然の中に自生をしているシロバナタンポポは、非常に多くの種類の動植物と共存している。
そのため、シロバナタンポポの植生密度も穏やかになっているため、食害や病害に遭うリスクが低くなる。
それに対して、雑草もなく虫も除去されたプランターのシロバナタンポポの生育環境は、同じ種の密生環境が食害を及ぼす虫の温床となり、疫病のリスクが高くなる。
この様な例は、新型コロナの流行においても同様のメカニズムが見られる。
だいたいこんな感じだったと思います。
このお話を聞いて、私は、息子に”みんながいるから、ぼくが生きることができるんだよ”と話すと、息子は、”なんでロシアは、戦争するんや”と言っていました。
まぁ、半分くらいは、伝わったかなぁ?
私自身も、息子とシロバナタンポポを巡って、特に一からシロバナタンポポを育てていく中で、何度も試練があり、その試練を乗り越えて美しい花を咲かせるまでの道のりは、まさに子育てそのもののように感じました。
そして、子どもも同じく、多様な環境下で学んで生活することが、生きるという大きな導線からぶれないために必要なことではないかと、改めて感じました。
また、話は飛びますが、自生しているシロバナタンポポは、秋咲きは、10株ほどと少なく、春先の約110株と比べて、1割以下しか発見できませんでした。
おそらく、年2回も花を咲かすためのエネルギーを1年で消費すると寿命が短くなるためかも?
タンポポの茎は、ご存じのように中は空洞になっています。
これは、タンポポの種をより遠くに飛ばすために、茎を高くする必要があることから、茎を作るためのエネルギー効率を考えて、進化の過程で空洞の茎になったと考えられています。
参照元:京都府立植物園夏の自由研究相談会にて京都大学の先生よりご教授
シロバナタンポポも生きていく上で、しっかりSDGsにかなった生き方の選択をしているのだと思いました。
たかがタンポポ、されどタンポポ。
そこには、万物の霊長と自称している人間が、謙虚に生きることの「学び」について、その根幹を享受する機会を示しているように感じます。