50代で子育て専業主夫になった私の日記

50代で初めての長男が誕生し、何もかもが180度変わりました。そんな初めての世界に感じたことを気分転換も兼ねて日々綴っているブログです。

子育ては、社会の変化と共に変わる!現代の子育て現場から見る子どものための育児

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今週末で、5歳の息子の幼稚園が始まるボイジャーです。

 

毎日、元気いっぱいの息子です。

 

これまでの記事でも少し触れていますが、息子の成長について、いろいろ考えて試行錯誤で取り組んでいますが、悩み事が少なくありません。

 

息子は、ちょっとこだわりが強い傾向が見られ、食事中でも、遊びの途中でも、自分の思いが阻害されるとすぐに、大音量で泣き叫ぶことがよくあります。

 

しかも、そうなると何を言っても受け付けなくなってしまいます。

 

そのような時は、今まではクールダウンのため、隣の部屋に連れて行きます。

 

しばらくそっとしておくと、泣き止みます。

 

でも最近は、逆にパワーアップして癇癪をおこすようになってきました。

 

このような状況が、前年の6月くらいの頃に見られました。

 

幼稚園の担任の先生からは、”幼稚園におられる時は、そのような様子は見られないですが、やや唯我独尊のような遊び行動が多いです。”とのこと。

 

集団の中で指示されたことをすることがやや苦手なのかなぁ?

 

その時は、ひょっとして発達障害?と妻と話していました。

 

調子のよい時は、お手伝いもしてくれるし、親の言うことにも良い返事をしてくれるので、果たしてそうなのか?と紋々とした毎日。

 

しかし、そのようなことは昔鳥越苦労のように、私のある出会いによって息子は今、格段に良い方向に変わりつつあります。

 

そのきっかけとなった出会いを今回はお話ししようと思います。

 

そして、この記事が、我が家と同じように育児に悩んでおられる方の一助になれば幸いです。

社会の変化で変わる育児の形

我が家の育児は、はっきり言って私が育った昭和の時代に私やその周囲が経験してきた育児の継承でした。

昭和の育児

昭和の育児の考えは、家の中に一人は、子どもにとって怖い存在がなければいけないと考えるものが多かったように思えます。

  

当時小学生だった私も、良くないことをしでかしたら、容赦なく一発二発は、普通にげんこつが飛んできた記憶があります。

 

親は、言うまでもなく子どものすべてを引き受ける最終責任者なので、社会に対しての責任を果たす意味でも、子どもにとって親は、最後の抑えにならなくてはいけないという強い意識を持った親が多かったように思います。

 

要するに、言い方が少々乱暴になりますが、親は子どもにとって怖い存在として、社会的にだめなものはだめということを未熟な子どもにわからせ、子どもの社会参加に支障がないように育てるという考えに基づいています。

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それでも、子どもが親に散々叱られた時は、必ず祖父母や隣近所のおばちゃん等がフォローしてくれ、子どもと親との仲介をしてくれたものです。

 

親は閻魔大王のように良くないことをすれば怖いという役割を果たし、その子どもの恐怖の逃げ場所として、祖父母や近所のおばちゃん等の存在がフォロー的役割を果たし、育児が比較的うまく機能していたんだと思います。 

 

実は、うちの子育ても、ガンガンのこの昭和の子育てだったんですね。

 令和の育児

令和の時代は、ご存じの通り核家族化が激しく進み、昭和の時代のように祖父母や隣人が一家の育児に口を出すことは、皆無に等しくなりました。

 

それどころか、子どもが泣き叫ぶと虐待の疑いを持たれて、役所や警察署に通報なんてことも有りうる神経質とも感じられる時代です。

 

そのため、昭和の時代に見られた第三者から子どもへのフォローは、ほとんどなくなってしまったように感じます。

 

そのため、昭和型の躾を行うと、最終的に子どもの逃げ場がなくなり、子育てがうまくいかないケースが多く見られるようになりました。

 

その一方で、子育てをする親自身が、子育てに行き詰まると、どのように対処すればよいのか?わからなくなることもしばしば。

 

夫婦で相談しようにも、大抵の家族では仕事をしている方は、仕事でいっぱいいっぱいの場合が多いので、子育てメインの方は、やがて孤立し、精いっぱい子どものためにと思い、頑張れば頑張るほど状況は悪化の一途をたどる蟻地獄といったケースも少なくないです。

 

そのような現実を反映しているエビデンスとして、児童虐待数の激しい増加があります。

 

児童相談所が対応した児童虐待の数は、1990年が1101人であったのが、2019年では19万3780件にまで増加したと厚生労働省の発表がありました。

 

実に29年間で176倍に及びます。

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  参考)厚生労働省発表データ

このような状況下で、児童相談所も今やパンク寸前の状況と言われている現在、この数字は、氷山の一角で、児童相談所に上がってこない隠れた虐待予備軍も、多く存在していると言われています。

 

この状況は、どことなく、コロナ禍に似ているような気がしますね。

 

何が原因でこんなに児童虐待が増えたのか?

原因は、少し前述でも触れましたが、やはり干渉しない核家族化の中での子育てによる親の知識不足と疲弊、依然として正規雇用が難しい労働条件下での低所得者増加等を反映しての親のストレスが、家庭内弱者である子どもに向けられやすくなっているという社会背景にあるように思われます。

 

既にご存じのことと思いますが「児童虐待の防止等に関する法律」(通称 児童虐待防止法)が2000年に施行されました。

 

いわゆる「体罰」が完全に禁止になった法律です。

 

この法律が施行されてから、マスコミ報道などでも児童虐待の現状がクローズアップされ、広く世の中に知られていったことも児童虐待数が増えた一因と言われています。

 

つまり、近所で子どもの異常な鳴き声や、体罰を目撃した場合、警察や児童相談所に通報し、児童虐待を早期に発見、防止するといった社会認知が広まった結果、これまで水面下に隠れていた児童虐待が表出されたと考えられるのではないでしょうか。

 

 

私自身も息子との子育てで身に覚えがありますが、一生懸命に真剣に育児をすればするほど、その思いとは逆に、子どもが大音量で泣き出したりすると、本当にどうして良いかわからず、ヘトヘトになります。

 

そして、それが続くと親も疲れ果て、つい感情的な辛辣な言葉がでてきてしまいます。

 

その状態が半年、1年と長引くと、一生懸命、子どものためにがんばっているはずの親が、気づかぬうちに親が考えるはずもない虐待という行為に向かってしまっているのではないかなぁと日々感じています。

 

私は、幸いにしてこれから紹介するある出会いによって、半年間の間に徐々に息子との接し方を修正していきました。

 

私の子育ての考え方を180度変えた出会い

私は、半年前に、子どもの今の状況を理解するために考えた末、子どもの脳に関する研究論文を読み漁ることにしました。

 

はじめは、自宅からネットでキーワード検索をかけて、関係しそうな研究論文をCiNiiなどで探し、読んでいました。

 

でも、ネットに全文公開されていない読みたい論文が結構あり、それらが収録されている学会書籍をいちいち購入していても時間も費用もかかるのでどうしたものかと思案した末、自宅から車で1時間ほどの所にある国立国会図書館に行くことにしました。

 

そして、息子の幼稚園の帰宅が17時の時などに、しばらくの間、国立国会図書館に通いました。

 

妻が子どもをみていてくれている時は、閉館ギリギリまでいるので帰りは日が落ちています。

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そんなある日、私の昭和の子育て支持の考えが180度変わったお医者さんのあの論文に出会ったのです。

 

その論文名は、「幼少期のマルトリートメントストレスが脳発達に与える影響」と言います。

 

この論文を書いた先生は、長く子どもの虐待による脳の変化を研究され、世界で初めてその変化を明らかにされた医師兼研究者をされている福井大学子どものこころの発達研究センターの友田明美教授です。

 

マルトリートメント?と言う聞きなれない名前がいきなり出てきましたが、これこそが私の育児の考え方を180度変え、これからの育児について必須のキーワードだと個人的に確信したものでした。

 

さて、このマルトリートメント(maltreatment)と言う言葉ですが、友田先生によると、

[mal(悪い)+treatment(扱い)]で日本語では「不適切な養育」「不適切なかかわり」と訳されます。わたしは最近「避けるべき子育て」と説明するようにしていますが、ひとことでいうなら、「子どものこころと身体の健全な成長・発達を阻む養育」のことを指します。

   引用元:友田明美,「親の脳を癒せば子どもの脳は変わる」,NHK出版新書,2019年11月,p24

という意味だそうで、1980年代からアメリカなどで広まった表現ということです。

  

そしてその内容とは?

 

脳の感受性期にある子どもへのマルトリートメント(CM:児童虐待・ネグレクト)は、こころと脳に生涯癒されにくい傷跡を刻み、成人後も多くの精神疾患やパーソナリティー生涯の罹患率増加・重篤化、自殺率増加を与える。

   引用:友田明美,「医学の歩み」(幼少期のマルトリートメントストレスが脳発達に与える影響)Vol.275 No.9 2020.11.28,p957

 というもので、これらのことを科学的に立証した論文です。

 

 ここで、児童虐待とかネグレクトなんていうことは、我が家には関係ないと思われるかもしれませんが、実は、マルトリートメントには、この2つ以外にも、もっと私たちに身近な以下のことが含まれているのです。

 

大人の側に加害の意図があるか否かに関わらず、また、子どもに目立った傷や精神疾患が見られなくても、行為そのものが不適切であれば、それはマルトリと言え、しつけと称して子どもを怒鳴ったり、たたいたり、つい感情にまかせて親の気分で子への態度を変える、といった心理的・精神的な虐待も含まれます。

   引用:友田明美「幼児教育じほう」48(6)2020.09,「マルトリートメント(子ども虐待)は脳にどのようなダメージを与えるのかー子ども虐待の脳科学から視えてきた「とも育て」の重要性ー,p12,13

 

さらに、具体的には、

   

言葉による脅し、威嚇、罵倒、あるいは無視する、放っておくなどの行為のほか、子どもの前で繰り広げられる激しい夫婦げんかもマルトリートメントと見なします。

   引用元:友田明美,「子どもの脳を傷つける親たち」,NHK出版新書,2019年1月,p14,15

 

私にも身に覚えがある内容があれもこれもてんこ盛りにありました。(反省;)

 

そして、最も重要なことは、マルトリートメントを受け続けた子どもは、脳の一部が萎縮又は肥大し、その結果、さまざまな障害を抱える可能性が指摘されている所です。

 

軽度の体罰でも子どもに好ましくない影響が発現する!

子どもがどうしても親の言うことを聞かない場合、「お尻をたたく」という程度の行為を躾のために行った親は少なくないのではないでしょうか。

 

実は、私も息子が良くないことをした時に、親の注意を全く聞かない場合に「お尻をたたく」場合がありました。

 

その時は、躾としての行為なので必要だと思って疑いませんでした

 

しかし、それは誤りでした。

 

アメリカでも日本でもこの軽度の体罰による子どもの影響について研究結果が出ており、いづれも好ましくない結果が報告されています。

 

具体的には、こんなにあります。

  

       ・規範や規則を守るこころが育ちにくい

  ・攻撃的になりやすい

  ・集団での行動がしづらい(反社会的行動)

  ・対外的/内面的な問題行動のリスクが高まる

  ・こころの健康が脅かされる

  ・親子間の愛着形成が損なわれる

  ・認知能力が低下する

  ・自己肯定感が育ちにくい

  ・親からのさらなる暴力を誘発しやすい

  ・成人後の反社会的行動/精神疾患

  ・成人後、自らも体罰を容認するようになる 

   引用元:友田明美,「親の脳を癒せば子どもの脳は変わる」NHK出版新書,,2019/11,p99,100

 

息子の場合もこの項目に当てはまるものがいくつかあり、親としての責任を感じています。

一旦、脳が変形し障害を発現した場合、回復はできるのか?

最新の子どもの脳についてのこのような研究結果を見て、親として取り返しのつかないことをしてしまったのではないかと正直、愕然としました。

 

しかしながら、友田先生は、リカバリーは可能と考えられておられるようです。

 

最近の脳科学研究では、「脳の傷は癒される」という事例が多く報告されている

そうです。

 

私が半年間やったことによる息子の変化

私は、この友田先生の一連の関係論文や書籍を読んで、半年間継続してきたことは、まず、日々の育児の中で、親がマルトリートメントの行為に及んでいないかのセルフチェックと、息子との会話の中で、CARE(Child-Adult Relationship Enhancement)プログラムと呼ばれる子どもと大人の絆を深めるプログラムの考え方で3つのP(Praise-具体的に褒める、Paraphrase-繰り返す,Point out-行動を言葉にする)を心掛けました。

 

          参考:一般社団法人CARE-Japanホームページ(https://www.care-japan.org/)

 

また、息子が大音量で癇癪を起した時の対応として、私自身アンガーマネージメント(怒りをクールダウンさせるコントロール力)を鍛えました。

 

具体的には、

 

  1.まず息子の表情やしぐさ、眼を6秒間だまって観察します。

 

  2.抱っこをしながらギューをして、息子をクールダウンさせます。

 

  3.だいたい数分で落ち着くので、落ち着いた後に、癇癪の原因は何なのか?を静かに優しく息子の耳元で聞き、聞き出したら癇癪を起さなくてもよくなるアドバイスを息子にします。

 

すると、息子は素直に”わかった”と言って、夕立の後のようにからっと機嫌が直るようになりました。

 

あとは、息子と挨拶を交わす時や話す時は、笑顔を心掛け、話すセンテンスも否定する”だめ”と、命令的な”しなさい”の言葉は、使わないように注意しました。

 

このような感じで6ヵ月が過ぎた時点の今、息子は、明らかに変わってきました。

 

  ・おじいちゃんから、声が明るく元気になったと言われた

  ・おもらしの心配がほとんどいらなくなった。

  ・とにかく私によくお話をしてくれるようになった

 

  等々、この他にもゆっくりながらも着実に日々良い変化がみられるようになりました。

 

まとめ

息子の子育てをする上で、当初は、私が子どものころに受けてきた昭和の躾教育を疑う余地もなく、息子にやっていました。

 

そのような中、息子の課題である”おもらし”の解消とちょっとしたことですぐに癇癪が爆発し長引く問題について、問題は子ども自身にあると思い込み、小児科医で子どもの発達分野の権威の先生に見ていただいたり、トイレの声掛けをまめにしたりなど息子との生活に試行錯誤していました。

 

そのような中、今回の友田先生の論文と出会うことにより、どうやら息子の課題が一向にクリアしないのは、実は親の方に問題があったと知ることになり、妻ともども息子とのかかわり方を180度変えました。

 

そして、今は息子も良い方向に成長しつつあり、揺るぎのない子育ての道が見えてきたように感じます。

 

今の我が国の体罰容認率は、6割に及ぶといわれていますが(私も半年前までは、その中の一人だったのですが・・・恥;)、体罰が物理的に子どもの脳にストレスを与え、変形にまで及ぶ事実が明らかになった今、昭和の子育てで多く見られた体罰は、改めなければならないと個人的には強く思いました。