こんにちは!久しぶりの投稿になります。
皆さんも既にご存じのことと思いますが、国の施策として全国の小学校でプログラミング授業が、このコロナ禍の影響でスタートの足並みが揃っていないながらも、実際に始まっていますね。
私の住んでいる所の自治体も、公立学校では、生徒一人に1台のタブレットを配布して授業を始めています。
また、プログラミングに特化した塾っていうのもよく耳にするようになりました。
このように、コンピューターが私たちの生活の細部まで入り込んでいる今の時代、そのコンピューターの仕組みを理解することは有益なことと思います。
でも正直、個人的には、‟小学校から全員がプログラミングの勉強をする?全員プログラマーになるの~??”という感じがして、何となくしっくりきませんでした。
(決して、国の施策に異議を唱えるつもりは全くありませんよ。)
そこで今回は、このような子どもの教育にICTが急激に入り込んでいる中、国が強力に推進する理由も垣間見ながら、子どもにとってICT利用が役立つツールとなるために知っておくべきことを、最新の研究結果が掲載されている話題書籍も踏まえながらお伝えしたいと思います。
小学校プログラミング教育の目的
文部科学省によれば、小学校プログラミング教育の目的は、
あらゆる活動において、コンピュータなどの情報機器やサービスとそれによってもたらされる情報を適切に選択・活用して問題を解決していくことが不可欠な社会が到来しつつあります。 コンピュータをより適切、効果的に活用していくためには、その仕組みを知ることが重要です。
引用元:文部科学広報223(https://www.koho2.mext.go.jp/223/html5.html#page=10)
これは至極当然、とても良くわかりますね。
続けて、見ていくと・・・
コンピュータは人が命令を与えることによって動作します。端的に言えば、この命令が「プログラム」であり、命令を与えることが「プログラミング」です。プログラミングによって、コンピュータに自分が求める動作をさせることができるとともに、コンピュータの仕組みの一端をうかがい知ることができるので、コンピュータが「魔法の箱」ではなくなり、より主体的に活用することにつながります。
引用元:文部科学広報223(https://www.koho2.mext.go.jp/223/html5.html#page=10)
そこで、コンピュータを動かしているプログラミングをやってみましょうと言うことですね。
但し、文部科学省は、プログラミング言語の習得を狙っているものではないということを言っています。
それでは、何を狙っているかと言うと、プログラミングを行うことにより論理的思考力を養うことなんです。
論理的思考力とは、問いに対して客観的根拠を元に回答を考える力です。
余談ですが、私も、教職員の前は、企業で働いていたのですが、その企業で論理的思考力(ロジカルシンキング)を高める内部スクールというのが定期的に開催され、そこで結構鍛えていただきました。
論理的に物事を考え、伝える力は、子どもたちにとって将来、生活の質のベースになるものと言っても過言ではない重要なものです。
また、将来、子どもが仕事に就いて、この論理的思考力の高低は、仕事の結果に大きく影響することが予想されます。
これまでも当然、論理的思考力をつけるための教育は、主に国語で行われてきました。
私の妻は、小学校の現役教諭なのですが、‟教科で国語が一番、学力を上げるのに苦労する中、国語の中でもとりわけ論理的思考力を上げるは本当に難しい”と言っていることからも解るのですが、論理的思考力を上げることは簡単にいかない場合がほとんど。
そのような中、このプログラミングという作業は、コンピュータに自分の意図する結果を実現させるために、自分の意図をコンピュータに伝えるものなので、結果がすぐに出ることもあり、トライ&エラーを繰り返しながら論理的思考力が鍛えられることが期待できると考えられています。
ということで、小学校からコンピューターは使うものの、目的は、論理的思考力を養う手段としてのプログラミングだったんですね。
さらに国は、コンピューターを使うことによって、コンピューターという道具について造詣を深め、社会に役立つコンピューターのユニークな使い方の発見やコンピューターが私たちの暮らしに安全で役立つ存在となるためのリテラシーを築くことへと繋げています。
ICT機器を使った学習のメリット
一般的なメリット
ICT機器を使った学習のメリットは、一般的には、何と言っても様々な学びのコンテンツが時間と距離を越えて提供できる所だと思います。
インターネットがギガビットの現代では、インターネットを介して瞬時に世界中にアクセスができます。
また、コンテンツ自身も紙や黒板といった二次元のものから動画といった三次元になることが多くなることにより、提供情報量の増加による理解のし易さ、新しい気付きへの機会が増えるなどが大いに期待できる所もあるでしょう。
このような環境で学習を享受できる子どもたちは、何事にも基本原理原則を学びながらも、常にユニークな視点から物事を捉えやすくなったと思います。
そのような観点から、製造業は、低迷し、時代は創造的なユニークなものが私たちの経済活動の主流になった今、子どもたちが、これからの時代に必須の能力と言われている想像する力を育むためには、ICT機器の活用は、極めて有効な手段と考えます。
家庭でのICT機器活用のメリット
ICT機器を使った教育手段は、今や学校だけに留まらず、自宅でもインターネットを使ってスマホやタブレット、PCで提供されています。
我が家の5歳になる息子にも、4歳からベネッセとジャストシステムの教材をやっています。
毎回、送られてくる教材内容もよく子ども受けするように考えられていますね。
学習方法も、子どもが飽きないように、タブレットだけでなくテレビ番組のようなDVDコンテンツや昔ながらのすごろくゲームなど多岐に渡っています。
息子は、タブレットの学習も毎回楽しみにしていて、新しい課題がネットから送られてくると、すぐに全部やってしまいます。
このように実際、我が家でもタブレットが息子の学習の一端を担っているのですが、実際使って見て感じるメリットは、やっぱり‟いつでも、どこでも子どもに学びの場が提供できる所ですね。
タブレットの学習は、最初は親が付いてやっていましたが、今では、一人でどんどんやっています。
その点、親が貼り付いて学習させる必要がない所も助かります。
もっとも、子どもが一人でやってくれるからと言って、タブレットにまかっせっきりでは続かないですが。。。
やっぱり、子どもは、とても敏感でタブレットをやっている時も、親の存在を感じながらやっているようです。
また、タブレットを自由に使わせているので、家の中で写真をパシャパシャ撮って喜んでいます。
その中で、私も逆に息子をパシャパシャ撮ってやると嫌なようで、写真を撮ると言うことについて息子に‟勝手に写真を撮られたら嫌やな気持ちになる?”と話をしました。
楽しいタブレットも使い方ひとつで、嫌なものにもなるということをやんわり伝え、それ以降は、むやみに人に向けて(と言っても家族内の話ですが)パシャパシャやらなくなりました。
世の中に便利なICT機器があふれている中、当然、リテラシーは必須になるので、ICT機器が家庭内にあることでリテラシー教育を生活の中からできることは、メリットかなぁと感じています。
人間の脳の性質を知らないとICT機器がデメリットになる
ICT機器が子どもたちにとってすばらしい学びの機会を提供してくれることは、今や十分に多くの人に認められている所だと思います。
しかしながら、ICT機器も使い方次第では、返って子どものためにマイナスになることが最近の研究結果で明らかになってきました。
それは、人間の脳機能に大きく関係しています。
2014年に「脳内麻薬」(中野信子博士著)と言う本でドーパミンと言う物質が、ゲーム依存やSNSにはまる話など話題になりましたね。
この本によるとドーパミンは、快楽物質と言われ、本来、頑張って何かを成し遂げたご褒美として分泌されるものでしたが、脳の進化の過程で、自分の成し遂げたいことが叶うかもしれない場面でも分泌されるようになったそうです。
このことからも、インターネットの世界に一度入ると、自分の興味をそそるクリックボタンが所狭しと表示されるため、調べ学習などインターネットを利用する時は、クリックをしたいのを我慢しながら(=ストレスをかかえながら)進める必要が多々あるという状況が発生していると思われます。
また、SNSやメールなどで着信音が鳴るたびに、どんな場合でも、内容が気になって、すぐに見られずにはいられない心理状況に陥るケースも少なくないと思います。
特に子どもの場合は、この誘惑に勝つことは至難の業ではないでしょうか。
2020年11月に発刊されたスウェーデンのお医者さんが書いた話題書「スマホ脳」(アンデシュ・ハンセン著)では、一番子どもに身近なICT機器のスマホに注目して実際にこのことを実証する臨床結果が挙げられています。
米国の研究で、被験者に集中力を要する難しいテストをさせた。被験者の一部には、テストの最中に実験のリーダーからメールが届くか電話がかかってくるかしたが、それに返答したわけではない。それでも、メールや電話を受けた被験者のほうが多く間違えるという結果になった。実に3倍も多く間違えた
引用元:アンデシュ・ハンセン「スマホ脳」新潮新書,2020年11月
800人にコンピューターで集中力を要する問題をやらせるというものがあった。結果、スマホを別室に置いてきた被験者は、サイレントモードにしたスマホをポケットに入れていた被験者よりも成績が良かった。
引用元:アンデシュ・ハンセン「スマホ脳」新潮新書,2020年11月
臨床例は、この他にも多く掲載されています。
この他にも、本書から
・手書きメモはPCに勝る
(講義でPCを使いながら受講した被験者とノートのみの被験者とで講義後に講義内容の理解度を比較した結果、メモだけの被験者のほうが講義内容をよく理解していた)
・特殊な一部の人以外は、マルチタスクは集中力と記憶力を下げる
・長期記憶が阻害される機会が多い
(インターネット上で矢継ぎばやに新しいコンテンツが登場するので、脳がそのコンテンツを次々追いかけるため、記憶の固定化ができなくなる)
・情報過多による鬱病
・深夜のブルーライトによる自律神経への影響
などなどICT機器を効果的に活用する方法としての注意点が書かれています。
まとめ
ICT利用は、子どもたちにとって必須だと思います。
しかしながら、有益に利用するためには、ICT機器から発せられるブルーライトのような物理的なものの体への影響やインターネット活用において脳の特性を踏まえて使用することが重要になってくると思います。
これは、子どもの教育においてICT機器を使用させる機会が多い今の時代では、そのメリットデメリットをしっかり親が把握しておくべきと思います。
特にインターネットでは、ご存じの通り通販サイトからブログ、SNSまで非常に多様なコンテンツが並んでいます。
これらすべてのコンテンツの目的は、ただ一つ。
自分のサイトにアクセスをしてもらうこと。
そして、あわゆくばそこから報酬を発生させることです。
そのために、インターネットのあらゆる場面で、自サイトのリンクを張り巡らしています。
このリンクをクリックしてもらうために、企業などは、研究された人間の脳の仕組みを容赦なく利用している場合も少なくありません。
この状況を理解した上で、インターネットの情報に流されず、デジタルとアナログの良い面を踏まえてバランスの取れた活用が必要だと思います。
個人的には、ICT機器の利用は、しっかり利用時間をあらかじめ決め、寝室には持ち込まない。
そして、インターネットを利用する時は、当初の目的以外のことについて、例えば学校の課題についての調べ学習時の途中で個人的に興味のあることについての情報取得するなどの利用は避けるなどする必要があると思います。