妻が入院して、3週間。息子もこの新型コロナの影響で、‟ママ”に会うことができない日々をなんとかこらえているのを見て、来月のママの退院が待ち遠しいボイジャーです。
我が家の息子も、来年の今頃は、小学生です。
子どもの成長は、本当に駆け足ですね。
その分、こっちが歳を取っているということなんでしょうが。(笑)
そんな息子のことで、いつも考えることは、やっぱり息子の育て方です。
どこの親御さんも同じとは思うのですが、わが子には、幸せになってもらいたいと願うのは親心。
ということで、今回は、おそらくすべての親共通の願いだと思う、子どもが幸せになるための「生きる力」について書いてみました。
人の幸せとは?
人の幸せとは?どのようなものか??皆さんは考えたことがあるでしょうか?
ある人は、使いきれない大金がある状態を人生における幸せと言うかもしれません。
また、別の人は、毎日、健康な日々を送ることこそ幸せと言うかもしれません。
このように見ていくと、人の幸せとは?十人十色で決められるものではないように思えます。
しかし、個人的には、今の私たちのように、資本主義社会に生きていく限りは、健康、お金、信頼の3つの欲望が、私たちの幸せ感の殆どを決定していると思っています。
健康とお金は、言うまでもありませんが、信頼もまた、家族からの信頼、恋人からの信頼、ビジネス上での信頼・・・というようになくてはならないものだと思います。
まず、健康な体があることで、多くの人と関わることができ、そこから多くの信頼を創り上げることができます。
得られた多くの信頼は、多くの仕事の機会を生み、多くの仕事は、多くのお金を生みます。
子どもは、特別な状況下にない限り、社会に出て働かなければ、自立して生きいくことは難しいと思います。
もっとも、子どもでなくても、働くことは必要だと思いますが。。。
このように、資本主義社会においては、実は、揺るぎない健康を保持しつつ、多くの人から信頼を得られることが、結果的に幸せに繋がっていくのではないでしょうか。
我が家の「子どもが幸せになる育て方」は、「生きる力」をつけること!
私の息子への子育て方針は、「生きる力」をつけることです。
2008年の文部科学省の学習指導要領に出てくる「生きる力」と同じ言葉なので、考え方が少し時代に逆行しているように感じられるかもしれませんが、概念は、文部科学省の言うところの「生きる力」と少し異なります。
私自身、教職員だったということもあり、来年からいよいよ小学校に入る息子の子育て方法の客観的材料として、文部科学省の学習指導要領は、気になるので目を通しています。
文部科学省の学習指導要領は、社会の変化を見据えながら、改定されてきました。
その改定の内容をざっと、およそ半世紀前から見てみると、1958年の詰め込み教育に始まり、1977年からはゆとり教育、2008年からは「生きる力」を育む教育、そして2017年からは、「主体的、対話的で深い学び」をキーに今に至っています。
このような流れから2021年現在は、日本で小中学校が目指している所は、「主体的、対話的で深い学び」です。
「主体的、対話的で深い学び」という言葉は、平たく言うと、“前向きに、やる気を保持しながら、学ぶ知識について、様々な人やメディア等から、多くの情報を集め、最終的に自分の中で、その知識がどのように社会に役に立っているのか?又は、新しい有益な活用の発見を期待する学び”ということだと思います。
この教育方針の背景には、ものづくりで豊かになった日本が、ものが売れなくなった時代に突入した今、ものではなく、今までになかったサービスや個人の体験といった、新しい価値観に根差した消費がこれからの仕事にとって代わられるといった社会構造の変化があるのだと思います。
確かに、インターネットのような膨大な情報を使いこなし、これからの新しい価値観に根差したクリエーティブな仕事が幅を利かす時代の学校教育の方針としては、今の時代にマッチングしたすばらしいものだと感じます。
しかしながら、学校では、私たちが今までに経験したことがない、新しい価値観を踏まえた消費を考えながら、仕事を進める取り組み方は教えても、具体的にどのようにすれば仕事として成立するリターンが得られるのか?までは、教えてくれません。
この状況は、今の時代にぴったりの道具をせっかく持ち合わせても、どのような材料を使い、何を創ればリターンが得られるのかわからない状況のように思えます。
そこで、私は、学校教育とこのリターンを得られる具体的な方法の両輪が揃って初めて、これからの社会で、幸せな生活を営んでいけることができると考えています。
そして、このリターンを得られる具体的な方法こそが、「生きる力」なのです。
「生きる力」の具体的な内容は、‟戦うべきは自己”を知る
それでは、我が家の息子の教育方針「生きる力」の具体的な内容を、紹介したいと思います。
内容は、至ってシンプルで、それは、「仕事の形態は、サラリーマンであろうが自営業であろうが関係なく、まず、自分の周りで、何か困っている人がいた場合、自分にできることはないか?を常に全力で考え、それを意識して生活をする」ということです。
息子には、この考えをベースに‟お友達や先生、じいちゃんやばあちゃんが困っていれば、助けてあげてね”と言っています。
昨日も、昼食時に、私が自分の味噌汁をテーブルに運ぶ途中、誤って床に味噌汁を少しこぼしてしまったのですが、食事をしていた息子が、食事を中断してティッシュを走って取りに行き、床にこぼれた味噌汁を拭いてくれました。
一見、当たり前の言葉で、これまでも普通に家庭や幼稚園などで子どもに言われていた言葉だと思いますが、子どもが大きくなるにつれて、人生の勝ち組になるため、さまざまな競争を繰り返すうちに、この言葉は、その他大勢の道徳の言葉になって心の片隅に飾ってあるような気がします。
かつての大量消費時代の「もの」が中心の社会で競うべき相手は、他者でした。
しかし、一定の「もの」が行き渡った今、「体験」や「多様なライフスタイル」などに基づいた消費から生まれるニーズが中心となる、これからの社会で競うべき相手は、自分自身なのではないでしょうか?
私自身、人よりも少しICTや電気関連に詳しく、免許も持っているので、仕事ではないですが、お隣さんの動かなくなったパソコンを直したり、友人の自宅の電気工事をしたり、その他に水道管の修理なんてのもたまにやってます。
頂く費用は、材料費だけですが、その友人の知り合いからの仕事依頼があったり、パソコンの新規購入の仕事の依頼をもらったりと、たまにですが仕事を頂くことがあります。
また、私の中学時代の友人で、今は、地元で電気屋さんをやっているのですが、私が台風でアンテナが倒壊し、困っていた時には、損得なしですぐに撤去と新設をしてくれ、その他にも困っていたことについて、いろいろアドバイスをくれたりします。
先日も、私が実家のアンテナを新設した時でも、この友人がアンテナ施設について、自分でやる場合のポイント等を色々アドバイスしてくれました。
この友人の電気屋さんは、家電量販店やホームセンターが市内に5,6件ある街にありますが、今も繁盛し、リピーターも多いです。
このように、息子には、自分のできることで多くの人たちの役に立ち、その皆さんにも喜んでもらえるwin-winの生活を送ってほしいと願っています。
「生きる力」は、スタンフォードと延暦寺から学んだ
我が家の「生きる力」は、自分のこれまで学んできたことや、色々な方のお話を参考にして考えたことではありますが、その中でも確信に至った2つの出会いがありました。
その一つが、スタンフォード大学・オンラインハイスクールの星 友啓校長が書かれた「スタンフォード式 生き抜く力」です。
「生きる力」ではなくて「生き抜く力」なんですね。
パワーを一段と感じる題名です。
この本は、書評で1記事書きたいくらいの、これからの時代を生きていく上で、非常にプラスになる本だと思います。
これからの時代を生き抜くためには、何がキーになるのか?
著者が確信したことは、以下の文章に色濃く表れています。
スタンフォード大学にきて20年ほど、私がスタンフォード大学の学術界の巨匠やシリコンバレーのビジネスリーダーから実感してきた「生き抜く力」の源泉は、20年前に自分が思い描いていた「ケンカ上等」でゴリゴリに勝ち上がっていくスタイルとは真逆の、「利他的マインド」をベースにしたものだったのです。
引用元:星 友啓著「スタンフォード式生き抜く力」ダイヤモンド社
「利他的マインド」これこそが、これからの時代に必須なものと筆者は感じています。
我が家の「生きる力」のベースとも一致していたので、読んでいて、すごく共感しました。
日本的には、人をおしはかる力、思いやり等がこれにあたり、アメリカでも、オバマ前大統領やビルゲイツといったビッグパーソンがしきりに、エンパシーの重要性を話しています。
スタンフォード大学では、この時代を生き抜く力の科学的研究を「思いやり利他行動研究教育センター」通称、思いやりセンターで続けられています。
このセンターの研究結果から、これからは、自己中、過度な忖度で人生に臨んだ場合、最終的には、悲劇が訪れる可能性が高いことが科学的にわかっています。
その他にも、この本の中で‟世界の天才たちもやっているコミュニケーション力の鍛え方”という章で、‟子どもの主体的な学習をサポートする話の聞き方”、‟会話の中で意識して避ける「4つ」のこと”など、具体的に子どもとのコミュニケーションメソッドが書かれているところも、すごく勉強になりました。
詳細は、字数の関係で控えますが、子どもとのかかわり方が具体的に書かれているので、すごくわかりやすく、勉強になりました。
そして、もう一つの出会いは、延暦寺です。
先日、妻の快癒を祈念するため、京都の比叡山延暦寺にお参りに行ってきました。
世界文化遺産に登録されている延暦寺は、788年に天台宗宗祖伝教大師最澄が一乗止観院(現在の根本中堂)を標高848mの比叡山の八合目付近に建てられたのが始まりで、このお寺で浄土宗宗祖の法然、浄土真宗の親鸞、日蓮宗の日蓮等の名僧が数多く学んだ所でもあります。
この伝教大師の教えの中心は、「一隅を照らす」という言葉で表されています。
この「一隅を照らす」と言う言葉は、伝教大師が著した『山家学生式』(さんげがくしょうしき)の冒頭に見られます。
『山家学生式』は、伝教大師が『法華経』を基調とする日本天台宗を開かれるに当たり、人々を幸せへ導くために「一隅を照らす国宝的人材」を養成したいという熱い想いを著述され、嵯峨天皇に提出されたものです。
引用元:天台宗一隅を照らす運動ホームページ https://ichigu.net/person/
その意味する所は、自分の与えられた役割を一生懸命、真摯に日々、果たすことによって、世の中に貢献する人こそ国の宝と言うことだそうです。
そして、その実践には、人が避けるようなことでも自ら率先して行い、良いことは、他の人と分かち合い、利他の心をもって事にあたることが大切ということです。
ここで感じたのは、最後の利他の心と言う部分。
今から1200年前に、国の逸材の育成教育を行っていた伝教大師が教えていたことが、現代のスタンフォードでも生き抜く力として教示しているという事実は、時代を超えた、不易な人間にとっての一つの真実ではないでしょうか?
まとめ
人が「生き抜く力」は、21世紀に入り、その実践法が科学的に明らかにされてきました。
それは、競争から共感へ、自己中から利他へ、無関心から思いやりへ、これまで宗教的なシーンでは、よく見られたこれらの考え方は、今や科学的根拠に基づいた事実として景色を変えてきています。
そして、これらの変化は、これからの時代を生き抜く子どもたちの「生きる力」も例外ではありません。
これからは、高いコミュニケーション力を持ち、一人だけではなく多くの人と関わって協働する、他者ー社会ー自己が 共に幸せになる3winの時代だと思います。
とは言え、そのような考えではなく従来の競争に明け暮れ、相手を倒してのし上がるという考えの人もいると思います。
しかし、「スタンフォード式生き抜く力」でも明言されていることですが、このような考えの人は、いずれ悲惨な結末を迎えることになるのでしょう。
今回は、人として生きていくうえでの不易なものの一つを、子育てを通して得ることができ、また一つ勉強になりました。