我が家では、昨年末から息子と一緒にタンポポ観察をしています。
きっかけは、自宅の近くで白いタンポポらしき花が咲いているのを息子が見つけたことからでした。
このタンポポ観察のことについては、また別の機会に記事にしたいと思っています。
今回は、このタンポポ観察、どうせやるなら学術調査でよく行われているフィールドワークと呼ばれる方法を取り入れたいと思っていたところ、妻が近くで植物観察を中心にフィールドワークが体験できる子ども向けプログラムを探してきてくれました。
そのプログラムの名前は、野道かんさつ塾と言います。
プログラムは、季節ごとの植物を中心に自然の変化を見るということもあり、5月の第二土曜日からスタートし、最終の12月まで合計8回あります。
※パンフレット掲載は、事前に京都丹波高原国定公園ビジターセンターより許可取得済み
早速、最初のプログラムに家族3人で参加するため、このブログでこれまで何度か紹介している京都府南丹市美山町まで行ってきました。
美山町にあるビジターセンターという建物の2階で開講されています。
とてもきれいな建物です。
実際、参加してみて、小学生でも本格的なフィールドワークを体験することができ、内容がすごくよかったので、今回、皆さんにシェアしたいと思い記事にしてみました。
※当記事の受講中の写真掲載は、事前に主催者より了承を頂いております。
私が感じた「野道かんさつ塾」とは?
野道かんさつ塾は、パンフレットにも書かれているとおり、小学1年生以上の親子を対象とした、“自然の不思議を自ら学び楽しむためのきっかけを作る”ことをテーマにしたプログラムです。
このプログラムに参加して私が感じたことは、自然をテーマに子どもたち自身の探求心を推進するプログラムだと感じました。
その特色は、単に自然に触れて、見て、感じるだけに終始せず、自然について体系的に学ぶことができるところだと思います。
そして、プログラムの3時間の中で、5つの作業があります。
最初は、うちの息子にはちょっと、難しいかなぁ?と思いましたが、実際に行う作業は、小学生でも十分、楽しみながらできる工夫がされ、スタッフさんの丁寧なフォローもしていただき大丈夫でした。
息子の初めての仮説
まず最初は、今、花の咲いている草花はどうなっているのか?自分なりに予想を紙に書いておく作業です。
もちろん、小学校1年生の息子にとって、仮説という言葉自体、生まれて初めてなので、最初は???でした。
でも、仮説シートには、子どもにもわかるような質問が2つ書かれていて、それに答えるだけで、仮説を立てたことになるようになっていました。
これが実際の用紙です。
昨年も、今回同様のプログラムがすでに行われているので、昨年の今頃と比べて、草花の状態はどのように変わったのか?変わらなかったのか?を息子と一緒に予想してみました。
予想の根拠は、これまで家族でタンポポ観察をした時に、いろいろな場所に行った時のことを思い出して決めたようです。
フィールドワークに出発!
フィールドワークの場所は、あらかじめ決められたB、C、Dの3つのエリアを全員で順番に観察していきました。
同時に、昨年同様、今回も各エリアごとに主に花が咲いている草花を採集します。
採集方法は、各エリアごとに参加者を振り分けて、自分の受け持ったエリアで、5種類以上の主に花が咲いている草花を採集することと説明を受けました。
採集時間は、各エリア10分間です。
Bエリアでは、オーソドックスなレンゲやシロツメクサ、オニノゲシ、ノアザミが早速採集され、名前がわからない花もスタッフさんに確認しながら、結構、集まりました。
息子は、この時、田んぼの中にいるアメンボに夢中でした。
10分経って、次は、いよいよ息子が担当したCエリアです。
早速、座り込んでヘビイチゴを取ってきました。
息子は、ヘビイチゴの花ではなく実を取ってきたので、後からヘビイチゴの花も採集しました。
その他には、カラスノエンドウ、ホトケノザ、オオイヌノフグリ、ハルジオンと採集し、最後に、ニコニコしながら得意げにカンサイタンポポとセイヨウタンポポを持ってきました。
このタンポポの名前は、タンポポ観察でほぼ毎日見ていたせいで、一瞬でわかったようです。
道端の草むらには、カワトンボがじっと止まっていました。
10分経ったので、いよいよ最後の由良川の河原になるDエリアに向かいます。
ここは、あまり花が咲いていないような感じです。
息子は、夏場は、河原で水路を作って遊ぶのが大好きなので、しきりに川が気になるようです・・・。
心配なので、妻がピッタリついています。
ここでは、私がアザミのような?そうでないような?花を発見。
自宅に帰ってから調べたところ、どうやら葉の形、棘の状態からアザミの一種でノハラアザミという種類のようです。
採集植物の名前調べ
ビジターセンターに戻り、採集したエリアごとにスタッフの方が採集植物を紙の上にきれいに並べてくれました。
これはBエリア。
これは、息子も採集したCエリア。
そして河原のDエリア。
さて、これからが一仕事で、この採集した草花の名称を調べて、花の色と同じ色の付箋に名前を書いていきます。
事前に、各エリアで見ることができる草木の写真カードが用意され、カードの裏には名前が書かれています。
このカードと採集してきた草花を照合するのですが、これがなかなか難しい。
素人目には、同じような花がいくつもあるように見えて、それぞれの判別ポイントがわかっていないままの照合なので、間違い探し状態になってしまいます。
そのような時に、まずどうしたかと言いますと、スマホのgoogleレンズを使って名前の確定を試みるのですが、これがまたすんなりといきません。
googleレンズは、画像検索になるので、検索に使用する画像にその種の決定的な特徴が写し出されていれば、かなりの高確率で名前がヒットするのですが、そもそも、そのようなポイントは、解ろうはずがありません。
ということで、名前がわからない種類を、塾長さんや特別講師の先生に聞きました。
その数、全28種類中10種類くらい。
名前の確定まで、5分とかかりませんでした。
さすがプロの方は違います。
名前が確定し、名前を書いた付箋は、付箋の色別にペタペタ白板に貼っていきます。
付箋貼り係は、息子にお願いしたので、名前を書き終わった付箋を息子に渡し、息子は、せっせと付箋貼りを楽しんでいました。
一応、付箋貼りがすべて終わったところで、おやつタイムになりました。
このおやつタイムの間に、特別講師の先生が、今回の採集植物の花の色別数量の集計をエリアごとにまとめてくださいました。
そして、しばしのおやつタイムも終わり、最後に集計結果を見せていただきました。
昨年との比較が棒グラフで表示されていて、エリアごとの変化の有無や、昨年との変化の有無がよくわかりました。
こんな感じで、あと7回、野道かんさつ塾でデータを取った最終的な結果が、どのような様相になっているのか?今から楽しみです。
スタッフの皆様、ありがとうございました。
また次回も、お世話になります。
次回の参加する?そして、さらなる探求
自宅に戻って、次の日に、息子に野道かんさつ塾に参加して、楽しかったか?つまらなかったか?を聞いてみました。
我が家では、ほとんど週1で子ども向けのプログラムに参加しています。
そして、必ず参加後に、息子に率直な感想を聞いています。
参加プログラムは、妻がいろいろ探してきてくれるのですが、参加のメインは子どもなので、息子が気乗りしないのに親ばかり勇み足になってもいけないと思っています。
今回の参加も、参加してどうだったのか?何が一番楽しかったのか?一番覚えていることは?を息子に聞いてみました。
息子は、フィールドワークが楽しかったので、また、参加したいと言っていました。
そして、フィールドワークの中で一番覚えていること(印象に残っていること)は、“ヘビイチゴをたくさん取ったこと”と言っていました。
そこで、私から息子にヘビイチゴについて、こんな質問をしてみました。
ヘビイチゴって、ヘビが食べるのかなぁ?
すると息子が
食べるんとちがう
と言ってきました。
それじゃ、へびさんのご飯は何か一緒に調べてみようか?
と言うと、息子はちょっと不思議そうな顔をして
うん!
と言ってきました。
そして、ここからささやかな探求が始まりました。
それから、ヘビの食べ物について息子と一緒に調べたところ、ヘビは、どうやら肉食動物なので、ヘビイチゴは食べないということになりました。
それでは、なぜ?ヘビイチゴと言う名前が付いたのか?
これについては、私がネットでしばらくいろいろな信用がおけるサイトを見て回り、以下の3つの説を取り上げました。
1.ヘビが食べるイチゴだから
2.ヘビイチゴを食べる小動物を狙ってヘビが寄ってくることから
3.ヘビがいそうなところに生えているから
1の説は、ヘビは肉食ということで却下。
2の説を確かめるべく、ヘビイチゴを捕食する生物を調べたところ、カタツムリ、ナメクジ、アリというのが浮上。
これらの生物が、果たしてヘビのご飯になるのか?
ちょっと調べたところ、海外にはカタツムリやナメクジを食べる新種のヘビがいるそうですが、日本では、そのような例は見当たらなかったです。
ということで、これも却下。
結局、消去法で3の説となりました。
あくまで、我が家の場合です。
また、調べていく過程で、ヘビイチゴは、ヘビイチゴ、オヘビイチゴ、ヒメヘビイチゴ、ヤブヘビイチゴの4種類が日本にはあるということがわかりました。
まとめ
今回、家族で野道かんさつ塾に参加させていただいて、息子が一番良かったと感じたことは、やはりフィールドワークでした。
親としては、子どもが意識しなくても、仮説→データ収集(フィールドワーク)→集計・分析→新たな探求という、これからの社会に求められている思考の流れを体現できることが素晴らしいと感じました。
さらに、当初、収集した草花の名前の確定は、Googleレンズを用いることが極めて有効な手段と考えていましたが、そこには、思わぬ条件が必須でした。
それは、検索物のユニークな判別ポイントは、あらかじめ検索者自身が把握できていなければ、有益な検索手段になる可能性が下がってしまうということに気づきました。
今回、名前の確定作業にGoogleレンズを使ってみて、似通った植物の異なる名前が多く出てきました。
それらを見て確定できるアナログのスキルは必須と感じました。
併せて、今回は、Googleレンズを使っても名前確定に時間を要していたものについても、プロの塾長さんや特別講師の先生がおられたので、時間を浪費せずにすぐに作業を終えることができました。
このことは、ギガスクール構想が進行している現在において、ICTを導入する時に考慮すべきポイントだと思いました。