寒さがやっとひと段落したかも?でも、乾燥している日が続いていますね~。
保湿クリームとカイロは必需品の和漢薬膳師ボイジャーです。(笑)
このような日には、コラーゲンたっぷりでリーザナブルな豚肉料理がおすすめ。
今回は、薬膳としてもお奨めのトンポーロー(東坡肉)を作ってみました。
【薬膳とは?】
薬膳では、体を温め冷えを除き新陳代謝を促進する食品を温熱性食品と呼び、体を冷やし熱を取り除き、抗炎症、鎮静を促す食品を涼寒性食品、温にも寒にも偏らず滋養・強壮を促す食品を平性食品と言います。
自身の体の性質や時々の体調を踏まえてこれら3種類の食品をバランスよく組み合わせておいしく食材をいただきます。
豚肉には、ビタミンB1が牛肉の約10倍、玄米の約2.5倍含まれ、鉄分やナイアシン、コラーゲンを含み、疲労回復、貧血、肌荒れ、気持ちを落ち着かせる作用が知られています。
皮つきブロック豚肉を格安で買った場所は、ロピア!
お店でいただくトンポーローって柔らかくて、脂身なのにしつこくなくて美味しいですよね。
お肉屋さんで売っているブタバラブロックで同じ作り方をしても、なかなかこのお味はできないです。
その秘訣は、やっぱり皮つきのお肉。
この皮つきのお肉は、街のお肉屋さんでも扱っている所は、超少ないです。
ネットだったら見つかりますが、国産豚バラブロックの相場は、だいたい1kgで2000円前後+送料。
値段が折り合わず、ず~っと作るのを見合わせていました。😞
でも先日、所用で京都駅近くへ出かけた際に、安さと品揃えの多さで定評があるスーパーマーケットのロピアをのぞいたら、なんとあったんです。¥(^▽^)/
値段もなんと100g179円と安い!(^▽^)/
そして、隣には、豚モモブロックの皮つきが山盛り。
こちらは、豚バラよりもさらに安くて100g109円!
トンポーローは、豚バラの三枚肉を使うのが普通なんですが、このモモ肉も脂がしっかり着いていて、サシもはいっています。
肉にドリップも出ていないし、薄ピンク色で脂身もきれいな白色です。
このような良い素材に巡り合うと、豚モモ肉でも美味しくトンポーローができるものなのか?創作意欲のスイッチが入ってしまいました。
皮つきバラブロックと皮つきモモブロックを約800gづつ購入。
お値段は、2585円でした。
この量でネットだったら国産ものは、送料込みで5000円弱くらいなので、これは嬉しい。
トンポーローの作成
本格的なトンポーローの作成は初めてなので、ネットに公開されている陳健太郎さんのレシピを参考にさせていただきました。
陳健太郎さんのレシピでは、時短で圧力鍋を使用されていますが、私は、薪ストーブがあるので1日かけてコトコト普通の鍋で蒸して作りました。
材料は、息子も食べるのでレシピにある粒山椒は、使いませんでした。
豚ブロック肉の下ごしらえ
皮つきの豚ブロック肉は、皮の部分に毛が残っているので火で炙り、包丁で毛をこそげ取ります。
まずは、皮の表面に軽く焦げ目がつくくらいガスレンジで炙ります。
ガスレンジで炙っても、ちょっとうまくいかなかったので、バーナーで炙りました。
黒いポツポツが、残っていた毛の根元です。
一見、毛など無いように見えるのですが、炙ってみると残っているのがよくわかりますね。
この毛の根本を包丁でこそげ取ります。
豚の皮の表面は、これくらいの焦げでも大丈夫。
皮の毛の処理が終わったら、熱湯に入れて臭みと余分な脂を落とします。
時間は、5分程度。
ゆで上げた豚ブロック肉の水分をキッチンペーパーで拭き、バットに置いておきます。
これで下処理は、終了です。
豚ブロック肉を煮込む(味付け)
【使用食材】
・下処理済み豚バラブロック肉 800g
・下処理済み豚ももブロック肉 800g
・ネギ (葉) 6本程度(約40cm/1本)
・生姜 一片(スライスしておく)
・八角 6個
煮込み用調味汁材料
・氷砂糖 90g
・紹興酒 600ml
・醤油 180ml
・鶏ガラスープの素 大さじ1杯
・オイスターソース 25g
・水 1.4l
ブロック肉を煮込む鍋にネギの葉を敷き詰めてスライスした生姜を乗せます。
皮つきのブロック肉を3cmくらいに切り、皮側を下にして鍋に入れます。
肉を入れ終えたら、肉の上に八角を適当な間隔で入れます。
八角は、スーパーの中華コーナーでも売ってます。
八角が無い場合は、五香粉(ウーシャンフェン)でもOK.
最後に煮込み用調味汁材料を入れていきます。
煮込み用調味汁材料は、氷砂糖以外は、あらかじめ各材料を合わせておいても良いです。
今回は、各調味料を分量づつ順番に入れていきました。
入れる順番は、特に決めていませんが氷砂糖だけは、最後にしました。
これで煮込み準備完了!この状態で火にかけて、沸騰したら弱火で1時間煮込みます。
1時間経ったら火を止め、中身が室温程度になるまで放置して待ちます。
今回は、一晩おきました。
【なんで氷砂糖?】
トンポーローの調理には、氷砂糖を使うことが好まれますが、普通の上白糖や三温糖はあまり使われないです。
その理由を説明する前に、まずはいろいろな砂糖の成分の違いを見ましょう。
砂糖成分比較表
一番糖(グラニュー糖) | 二番糖(上白糖) | 三番糖(三温糖) | |
---|---|---|---|
ショ糖含有率 | 約99%以上 | 約97~98% | 約94~96% |
灰分・ミネラル | ほぼゼロ | 約1~2% | 約4~6% |
カラメル化 | なし | なし | あり(薄茶色) |
甘さの特徴 | すっきりした甘さ | まろやかでコクあり | コクが強く、風味豊か |
主な製品 | グラニュー糖、白双糖 | 上白糖、中白糖 | 三温糖 |
上表の各砂糖の特徴を踏まえて、トンポーローの調理には、氷砂糖を使う4つの理由があります。
1.ゆっくり溶けてコクのある甘みを出す
氷砂糖は溶けるのが遅いため、じっくり加熱する料理に向いている。
長時間煮込むトンポーローでは、砂糖がゆっくり溶けて肉全体に均等に染み込み、深みのある甘みが出る。
2. 照りと美しい色を出す
氷砂糖は溶けると透明度の高いシロップになり、砂糖の不純物が少ないため、仕上がりがきれいな琥珀色になる。上白糖や黒糖だと、色が濁ったりくすんだりすることがある。
3. 甘さのキレが良い
氷砂糖の甘さは雑味が少なく、すっきりしているため、トンポーローの豚の脂や醤油の濃厚な風味とバランスが取りやすい。
4.焦げにくい
普通の砂糖(特に上白糖)は加熱するとすぐにカラメル化して焦げやすいが、氷砂糖はゆっくり溶けるため焦げにくく、肉の表面が均一に美しく仕上がる。
【なんで煮込んだ後は、冷ますの?】
煮込んだ後に冷めるまでゆっくりほったらかしにするのは、タレの味をしっかり肉の中身まで浸透させるためです。
自宅で作ったカレーやおでんなども、作りたてよりも一晩おいて翌日に食べたお味の方が、おいしい言われることがないでしょうか?
その仕組みをちょっと説明すると。。。
ちょっと雑多な絵で見にくいところは申し訳ないのですが、煮込み料理でタレの味がお肉の表面から数㎜程度まで浸透するのは、弱火で煮込んでいる時です。
さらにお肉の中までしっかり味を浸透させるには、煮込んだ後、ゆっくり冷やすことが必要です。
理由は、浸透圧とたんぱく質変性と呼ばれる変化です。
タレに浸した豚バラブロックは、加熱すると浸透圧でどんどん肉内の水分子がタレの方に移動します。
タレの温度が60℃以上になるとお肉が収縮し、さらにお肉の水分子がタレの方に移動します。(たんぱく質変性)
そして、加熱終了時のお肉の中は、多量の水分子が抜け、スカスカの状態です。
加熱を止めて、冷える過程で、今度はタレの砂糖、紹興酒、醤油分子が、そのスカスカの場所に、徐々に入り込んでいき、肉の中までしっかり味が浸み込みます。
野菜の場合は、多くの方がご存じの通り、大根や人参などのように煮込んでもなかなか味が浸透しないものや、芋類のように簡単に煮崩れしてしまうものがありますよね。
これは、野菜細胞には動物細胞にはない細胞壁というものがあります。
この細胞壁の厚さが、味の浸透度の一因になっています。
また、煮崩れは、水を含むと膨張するデンプンの含有量が大きく影響します。
根菜類の細胞壁の厚さ及びデンプン含有の程度と煮崩れの関係例一覧表
野菜の種類 | 細胞壁の厚さ | デンプン含有量 | 煮崩れしやすさ |
---|---|---|---|
人参 | 0.1~1.5μm | 少ない | 崩れにくい |
大根 | 0.5~2.0μm | 少ない | 崩れにくい |
じゃがいも | 0.1~0.3μm | 多い | 崩れやすい |
さつまいも | 0.3~1.0μm | 多い | 崩れやすい |
里芋 | 0.2~1.5μm | 多い | 崩れやすい |
ごぼう | 0.1~0.3μm | ほぼゼロ | 殆ど崩れず |
レンコン | 0.2~0.4μm | わずか | 殆ど崩れず |
山芋 | 0.1~0.3μm | ほぼゼロ | 崩れにくい |
時間に余裕がある時など、カレーやおでん、ちょっとした味噌汁でも、一から作った煮物料理は、一晩おけば一味上がるのでおすすめです。(^▽^)/
豚ブロック肉を蒸す(とろけるお肉)
翌朝の10時ごろに調理再開。
タレが冷めた表面は、豚バラブロック肉から出た真っ白な脂の塊(ラード)が南極海の氷のように、ぎっしり浮いているので、全部きれいに取り除きます。
このラードも、極上の調味料になるので冷凍しておくのも良いと思います。
そして、きれいに取り除いた状態がこんな感じです。
これから豚肉ブロック肉のみを取り上げ、大きめの鉢に入れます。
全部のお肉を鉢に入れ終わった後、鉢ごと蒸し器に入れます。
今回は、薪ストーブを焚いている日だったので、夕方まで薪ストーブの上に置いておきます。
トンポーロー追いタレをつけて完成
そして夕方5時も過ぎた頃に蒸し器から鉢を取り出しお肉は、完成!
最後の〆の処理にお肉に付ける甘ダレを作ります。
甘ダレは、肉を煮込んだ時の残りタレを適量、鍋に入れて火にかけ、水溶き片栗粉でとろみをつけるだけ。
出来たタレを皮つき豚バラ肉にまんべんなく付けて完成です。(^▽^)/
野菜は、定番のチンゲンサイです。
めでたく晩御飯は、この我が家初の皮つき豚バラブロック肉と皮つき豚モモブロック肉のトンポーローとなりました。
家族の反応は・・・。
息子:写真で写っているトンポーローの倍を完食
妻:”京都にある町屋の中華専門店で京都御所の隣にあるマダム紅蘭で食べた奴と同じやね。”という身に余るお褒めの言葉をいただきました。
皮つき豚モモブロック肉のトンポーローのお味は?
写真の左側が皮つき豚バラブロック肉で右側が皮つきモモブロック肉です。
どちらも、肉の柔らかさが噛まなくても舌で押さえるだけで食べることが出き、お味の浸み込み具合も十分なのですが、脂の部分がバラの方は脂-肉-脂でモモの方は、脂-肉となっているので、一口食べた時の、脂の甘みと肉の味がミックスされた味がバラの方が良く柔和している気がしました。
やはり、モモ肉のはうは、肉対脂のような構成になっているので、脂の甘さも肉の味もどちらも主張してくるような感じです。
やはり、トンポーローには皮つき豚バラブロック肉が使われる理由に納得できた気がします。
あくまで、個人的な感想ですが・・・。
まぁこの辺りの感覚は、肉のカットの仕方でバラ肉と同じような感じになると思います。
まとめ
やはり、皮つきと皮無しは、肉本来のトータルな甘みが違うと感じました。
また、調理時間が長く手間暇がかかっているような感がしますが、放置する工程が多いので、実際調理している時間は、そんなにないかも。
皮つき豚バラブロック肉と皮つき豚モモブロック肉は、厳密に言えばトンポーローは、皮つき豚バラブロック肉をお奨めします。
コスパは、豚モモブロック肉のほうが断然良いのですが・・・。
皮つき肉は、ちょと手に入れにくいとは思いますが、ロピアのようなところもあるので皮つきのブタバラブロック肉を見つけられたら、一度試されてはと思います。
お味は、筋金入りでとろける美味しさです。