毎日、40℃前後の日が続いていますね。
正に酷暑です。
ニュースでも連日、熱中症の話題が尽きません。
そのような中、この夏、我が家ではちょっとした悩みがありました。
それは、寝室にしている和室二間の部屋の臭いなんです。
寒い冬場は、特に気にならなかったのですが、気温が30℃を越える季節になると、部屋を閉め切った状態では、どことなく臭ってきます。
原因は、3歳のころからの息子のおもらし。
さすがに、4歳半になった現在では、畳にボトボト落ちるほどのおもらしは、なくなりましたが、過去のほのかな異臭が畳にしっかり浸み込んでいるようで、取れません。
これまでは、色々な消臭スプレーを試しては変えを繰り返してました。
写真のこれらは、試したもののほんの一部です。
介護用の消臭スプレーというのが強力に消臭するとネットに載っていたので、それも試してみましたが、スプレー臭が独特な薬品のような臭いがして、そちらの臭いのほうがちょっとだめで使えませんでした。
結局どのスプレーも、スプレーした直後はそれなりに消臭してくれるのですが、エアコンを動かしている状態だと3時間もすれば元に戻ってしまいます。
カーペットなら6畳くらいの大きさのものであれば、何とか風呂場で自分で洗えるのですが、さすがに畳は洗うことはできません。
そこで、この臭いが消えるかどうか?ダメ元で、畳を干してみることにしました。
畳については、大学の社会人編入学で日本の民俗学を学ぶ機会があったので、その時の内容のいくらかをお話しします。
【畳のサイズ】
既に知っておられる方も多いと思いますが、畳のサイズは大きく分けて4つあります。
引用元:大妻女子大学家政系研究紀要 第47号(2011.3)「畳の歴史と畳表の変化」平井
☆我が家は、関西なのに関東間でした。
【畳の材質】
畳の材質は、畳表と言われる畳の表面と畳床と呼ばれる畳の本体によって異なります。
畳表は、畳独特の香りがする藺草(いぐさ)が原材料として使われています。しかし、最近では、住宅の洋風化が進み藺草の需要が減ったことや、藺草の生産労力が大きいこと、安い中国産が大量に輸入されていることもあって、国内の藺草の生産量が激減しています。
その影響もあって、藺草の代わりに紙やプラスチック製の藺草そっくりの畳表も作られています。
畳床は、昔から稲わらを圧縮して糸で縫い合わせたものを使っていましたが、こちらもダニの繁殖やカビの発生、生産性の問題を改善した新素材(発砲ポリスチレン板や軟質繊維板)が多用されています。
一般に、重たい畳のほうが高級品です。
☆我が家の畳は、畳床が軟質繊維板を使用しているようで、片手でも楽々持ち運べる、比較的軽い畳でした。
【畳の敷き方】
畳の敷き方には、茶室とか文化財の和室など特殊な場合を除き、2通りあり「祝儀敷き」と「非祝儀敷き」があります。
一般住宅では通常は、祝儀敷きになります。
畳は当初、非常に高価なものであったため、一般庶民には縁がなかったものだったのですが、江戸時代中期ごろから庶民にも広がり始めました。
畳は、読んだ通りで、通常は日の当たらない場所にたたんで保管し、祝い事の時には祝儀敷きの敷き方で部屋に畳を敷き、弔事には、非祝儀敷きの敷き方で畳を敷きました。
昔は、今のように畳の部屋というものは、庶民にはなかったんですね。
その他、現代にも継承されている敷き方の決まりとして、畳の敷き始めは、まず、床の間と平行に敷くことから始めることや、部屋の出入り口の畳も必ず出入り口に平行に敷くということになっています。
これは、畳の目の方向と、人の動線の方向を同じにすることにより、畳の目を傷つけにくくするためです。
畳外し
まず、部屋の床から畳を外す作業です。
畳の厚さは、畳の種類によって4cmから5cmくらいです。
床面にぴったりはめ込まれていますので、外すには畳職人さんは、「手鉤(てかぎ)」という道具を使いますが、私は、襖(ふすま)の枠を外す時に使う、「枠外し」で外しました。
「枠外し」は、ホームセンターなどに700円前後で売っています。
これです。
これを、畳の縁のところに差し込んで、畳をこじ上げます。
道具がない場合は、マイナスドライバーでも代用できると、よく畳外しの説明に書かれている場合がありますよね。
でも、個人的には、マイナスドライバーは、畳を傷つけてしまったり、ドライバーによっては、ドライバー自身が曲がってしまうということも見られます。
その点、この襖の枠外しは先が広く板状になっているので、畳を面でこじ上げ、傷つきにくくお薦めです。
畳を外している間にも、息子が部屋の中を走り回っています。
まさに、座敷童状態。(笑)
ここで、畳を外す時の注意点が一つあります。
畳のサイズは、一応サイズは決まっているのですが、実際に使用される畳は、一つ一つ微妙にサイズが違います。
ということから、畳を床に戻す時には、元の場所と同じ場所に戻さなければ、うまく畳が納まりません。
そのために、必ずどの畳がどこにあったのかわかるように、畳の裏と床面に番号等、わかりやすい印を付けておきましょう。
私は、数字にしています。
畳を干す
外した畳は、2階へ運んで立てかけて干します。
この畳を干す時に、注意しないといけないことが一つあります。
それは、畳床(畳の裏面)を太陽に向けて干すということです。
決して、畳表を太陽に向けてはいけませんよ。
干す時間は、だいたい5時間程度です。
床面の掃除
畳を干している間、畳を上げた部屋の床面を掃除します。
床面は、綿埃やちょっと砂っぽい、ざらざらした汚れが付いていました。
早速、我が家のダイソン1号機で掃除します。
床面の掃除機が終わったら、水拭きします。
全部、拭き終わったところで、床の破損チェックと縁の下のチェック。
息子が縁の下を覗いて、家を支えている柱の下の礎石を興味深く見ていました。
結構、古い家なのですが、板の端が1か所割れていた以外は、白アリもなく、特に問題ありませんでした。
畳を戻す
干し終えたら、畳床(畳の裏側)を布団たたきなどで叩き、畳の埃を取ります。
決して畳表をたたいてはいけません。
☆畳を叩くと、非常に細かい煙のような埃が出てきました。
叩き終わったら、畳を1階の元の部屋に戻します。
息子は、戻した畳の上に、早速しっかり乗っかています。
12枚の畳をすべて2階から元の場所に戻し、終了です。
まとめ
畳の虫干しは、普通は年2回、春と秋にやることが多いのですが、我が家は年1回、真夏にやります。
1日がかりで畳の虫干しを終え、その夜、早速、いつものように布団を敷いて寝てみると、全く変な臭いがしません。
完璧に、臭いがない状態にリセットされました。
これで、めでたく消臭スプレーを使うこともなく、ほのかな嫌な臭いがなくなりました。